Coach's VIEW

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つながりを促す力

「組織の変化を促す重要な要素として『社員間のつながり』がある」
ということは、以前、当メルマガでご紹介しました。(※1)

その時に紹介した「社員間のつながりがある」とは、
以下のような状態を指していました。

・職場のメンバーには異なる意見であっても相手の話を聞こうとする姿勢がある。
・社員は、自分が得た情報や経験を、積極的に職場のメンバーに共有している。
・職場のメンバーは、相手が違う部署であっても、領域を超えて協力している。

この結果に、「やはりそうか」と感じた方は少なくないでしょう。
それは、組織には次のような課題が少なからず生じているからです。

・議論より事なかれ主義が、風土として根付いている
・自分の役割以外のことや周囲の状況に無関心な人が多い
・部門間に壁があり、交流がない

「社員間のつながり」を醸成するためには、
社員一人ひとりが、こうした課題を乗り越えていく必要があります。

しかし、それは容易ではありません。

役員に集まる場を与えれば、
自部門の課題を他の役員に打ち明けるでしょうか。
表彰制度を設ければ、
他者の目標を共有し、ともに達成を目指せるでしょうか。

用意された状況だけでは、
意外につながりにくいものです。

「社員間のつながり」は
一人ひとりが、「自ら」つながろうと動くことで、
つくられていくのだと思います。

では、どうすればその動機づけができるでしょうか。

その方法のひとつに挙げられるのが、「助け合う」環境です。

面白い実験があります。(※2)

実験は、 利害関係を持った人々が集まり、ある課題に取り組むというものです。
課題名は、「助け合いの輪」。

その中のひとりの「願い」を叶えるために、
周りの人が助けなければならならない、というのがルールです。
同業他社の管理職同士、熾烈な就職戦線を争う学生同士など
利害関係が交錯する、さまざまなグループが設けられました。

「開発コストを抑えるためにはどうしたらいいか」
「ある業界に入り込むために良い方法はないか」

参加者からのさまざまな「願い」を
グループごとに共有します。

一見、日頃から競争し合う者同士では、
助け合えないのでは、と思われるかもしれませんが、
いずれのグループ内でも、しっかりと助け合いが生じました。

しかも、助けられた以上に、
自ら進んで、誰かを助けようとする動きが見られたのです。

あくまでも「実験」という非現実的な設定下ではありますが、
これは興味深い結果と言えるのではないでしょうか。

つまり、お互いの目的を共有する、
そして、「助けられた」ことを体験することが、
「自ら関わりを持とう」とする動機づけに
役立てられるかもしれないのです。

私たちが取り組んだ、中国のある日系企業におけるプロジェクトにおいても、
お互いが「助け合う」ことで生まれたつながりは、大きな成果を生んでいます。

その日系企業が抱えていた課題は、
売上の大半を、日本本社からの請負業務に依存していたことです。

そのため、プロジェクトでは、
「人種や役職に関係なく、全員がリーダーシップを発揮し、
中国のマーケットに合ったビジネスを創出する」
ということを目的としました。

まずは、キーパーソン5名を社内コーチ役に任命。
社内コーチは、上司や同僚、部下など3~5名のステークホルダーを持ち、
10ヵ月にわたり、彼らの目標達成のために関わり続けます。

通常、コーチングは、
コーチとステークホルダーの「1対1」の間で行われます。
そのため、ステークホルダー同士は、
お互いのコーチングにおける目標や成果について
知る機会はありません。

そこで、ステークホルダーを集めて
お互いの情報を交換する場を設けたのです。

コーチングを通して、何を成し遂げたいのか
目標に向かって、現在どのように行動しているか
具体的な成果は上がっているのか
どのようなことが、目標達成の障害となっているか

目標や課題を共有することで、
お互いに興味や関心が生まれます。

「自分が抱えている課題の解決に、役立つのではないか」
「自分が得たものが、誰かの課題解決に役立つのではないか」

と意識し合うようになり、
質問やアイデアといった形で現れるのです。

情報共有の場が、
ステークホルダー間に「助け合う」関係性を醸成するための
きっかけとなったのです。

こうした機会を幾度と設けるうちに、
こうした場以外でも、ステークホルダー同士が
自ら情報を交換し、
「助け合う」光景が見られるようになったのです。

結果、10ヵ月間のプロジェクト期間内で
新しいビジネスとして期待できる話やアイデア、行動が多く生まれました。
しかもプロジェクトが終了した後も、
部門や役職に関係なく、
彼らの間に築かれた"つながり"は続いているそうです。

コーチングの構造を軸に、
ステークホルダー同士の間に 「助け合う」環境、
つまり、「自ら社員同士でつながろう」という状態を つくり出す。

これが連鎖していくことで、 「社員間のつながり」が
組織全体で醸成されていくのではないでしょうか。

【脚注・参考資料】

※1 WEEKLY GLOBAL COACH Vol.745(2014年6月18日)
  「組織の変化は、『つながり』から生まれる」 番匠武蔵

※2 『GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代』(三笠書房)
   (Part8 人を動かし、夢をかなえる「ギブの輪」 より)
   アダム・グラント(著)、楠木建(翻訳)

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

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