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データに見る、リーダー開発に本当に必要なこと

データに見る、リーダー開発に本当に必要なこと

組織におけるリーダーの最大の役割は、業績を向上させ、同時に部下を育成することです。

業務を遂行すること、目標を達成すること、生産性や業績を向上させることなどは当然のこととして、部下のリーダーシップを開発し、次世代のリーダーとして育てることも、重要な役割のひとつだと言えるでしょう。

では、企業において、リーダーとは、どのような視点で選ばれているのでしょうか?

当メールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」の読者を対象に、管理職に求められる能力に関するアンケートを行いました(※1)。

「なぜ、自分は昇進したのか?」vs. 「なぜ、この部下を昇進させるのか?」

「自分が課長に昇進した理由を何だったと思うか?」という質問を、課長と部長に聞いたところ、上位3項目は同じものでした。

表1. 「あなたが課長へ昇進したときの理由は何だったと認識していますか」への回答 トップ3 (自己認識)

課長も部長も、自分の「業務実績」「アカウンタビリティの高さ」「仕事への情熱」が認められて「課長」という役職に昇進したと考えているのです。

表2は、課長と部長に「あなたが部下の昇進を推薦、または決めるときに、重要視していることを教えてください」と尋ねた結果の各トップ3です。

表2. 「あなたが部下の昇進を推薦、または決めるときに、重要視していることを教えてください」への回答 トップ3

トップワンは、「業務実績」ではなく「アカウンタビリティの高さ」となっています。

自分が昇進した一番の理由は「業務実績」だと思っているにもかかわらず、部下の昇進には「業務実績」よりも「アカウンタビリティの高さ」を重要視していることがわかります。

「アカウンタビリティ」とは、コーチングでは

「主体的に自ら進んで仕事や事業の責任を引き受けていく意識」
「自分の責任において考え、行動を起こす意識」
「自ら今できる最善の選択をし続けること」

と定義しています。

リーダーの役割が「組織の目標達成にむけて最善の戦略を選択し実行すること」だとすれば、「アカウンタビリティの高さ」は「業務実績」や「仕事への情熱」と並んでリーダーに最も重要な要素のひとつだといえます。

つまり、上司が部下の昇進を考えた時、その部下が将来にわたってリーダーシップを発揮できるかの判断材料が「アカウンタビリティの高さ」であることは当然といえば当然です。

リーダーシップ開発に有効な方法とは?

次の資料は、「部下のリーダーシップ開発についてのアンケート調査」の結果です(※2)。

Q. あなたの直属の部下は、どれくらいリーダーシップを発揮していますか?

<全体集計>

<役職別集計>

上司の立場からみて、約半数の部下はリーダーシップを発揮しており、役職が上がるほど自分の部下がリーダーシップを発揮していると認識していることがわかります。

次に、部下のリーダーシップ開発に関して、最も効果的だった手法と、効果の無かった手法について聞いています。

Q. あなたがこれまでに直属の部下のリーダーシップを開発するために取り組んできた中で、もっともリーダーシップを発揮させることにつながったと思う方法は何ですか?

Q. もっとも部下のリーダーシップを発揮させることに繋がらなかったと思う方法は何ですか?

※学習の機会 スキルやマインドを身につけるための研修やeラーニングなどをうけてもらうこと
※模範の提示 上司である自分がリーダーシップの模範を示すこと
※対話の機会 日頃から、部下の成長のために1対1で対話する時間をもつこと
※権限の委譲 決定権限を与え、仕事を任せること

研修やeラーニングなど、「学習の機会」を与える短期的、一方通行的な手法では、リーダーシップの開発は困難であることが分かります。また、リーダーシップの「模範の提示」は、踏襲が難しいということでしょう。なぜなら、周囲の関係者やビジネス環境は絶えず変化しているため、過去の成功体験や人から教えられたとおりのことでは対処できません。

「リーダーシップの概念」は、教えることができるかもしれません。しかし、「リーダーシップの発揮」は教えるものではない、ということです。

一方、効果があった方法として、「権限の委譲」「対話の機会」が多く選ばれています。リーダーシップの開発は、自分でその立場を体験してはじめて、自分のものになるのです。

上司から見れば、失敗するかもしれないけれど、部下に権限を与え、責任を持たせ、任せてみる。そして、そのことについて対話の機会を設ける。部下は権限を委譲され、当事者として様々なことに直面する。そして、自分自身の責任において考え、行動を選択する。

その結果として現実に起こったことを題材に対話することで、部下は「リーダーシップを発揮する」ことを身をもって学んでいくのだと思うのです。

上司としては、部下に任せるのは怖い。
部下の側も、責任を引き受けるにはリスクがある。

さらに、そのことをテーマに「対話」を続けるのは、両者に想像以上の労力が必要です。しかし、上司も部下も、そのリスクに飛び込み、対話を継続させる。それはまさに、リーダーシップを発揮する上でもっとも大切なアカウンタビリティが試され、鍛えられるプロセスです。

部下をリーダーに育てるために「権限委譲」をし、「対話の機会」を設ける。それを「コーチ型マネジメント」と呼ぶのだと思うのです。

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【参考資料】
※1 株式会社コーチ・エィ コーチング研究所調査
読者アンケート調査(No.16)「管理職に求められている能力についてのアンケート調査」
調査対象:コーチ・エィ発行メールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」の読者
実施期間:2017年7月19日~8月8日

※2 株式会社コーチ・エィ コーチング研究所調査
読者アンケート調査(No.13)「部下のリーダーシップ開発についてのアンケート調査
調査対象:コーチ・エィ発行メールマガジン「WEEKLY GLOBAL COACH」の読者
実施期間:2016年11月16日~12月13日

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。

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