Coach's VIEW は、コーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。最新のコーチング情報やコーチングに関するリサーチ結果、海外文献や書籍等の紹介を通じて、組織開発やリーダー開発など、グローバルビジネスを加速するヒントを提供しています。
組織変革と組織開発
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弊社のサービスに「エグゼクティブ・コーチング」と「Driving Corporate Dynamism(DCD)」があります。そして、エグゼクティブ・コーチングの資料には「エグゼクティブコーチは組織変革のためのパートナーである」とあり、DCDの資料では「組織開発を進めるプログラム」と説明しています。
弊社に入社したばかりのコーチから、「なぜエグゼクティブ・コーチングでは『組織変革のパートナー』という表現を使い、DCDでは『組織開発を進める』としているのか?」と聞かれることがよくあります。
組織変革と組織開発。
この二つはどのように関係しているのでしょうか。
みなさんは、どのようにこの言葉を使い分けていますか。
「開発」は「眠っている能力を起動させること」
組織開発から考えてみます。
「開発」という言葉は、もともと仏教用語の「かいほつ」を語源とします。「かいほつ」とは、相手、あるいは対象となるものの中に「眠っている能力を起動させる」こと。関連する言葉で「成道」という言葉があり、これは自分で自分の中に眠っている能力を起動させること。つまり「悟り」を指します。
語源から考えると、「組織開発」とは「組織の中に眠っている能力を起動させる」という意味だと言えるでしょう。
何を起動させたいと考えるかはそれぞれの組織によって違うと思いますし、組織開発をサービスとして提供する会社によっても、起動させようとするものが異なるでしょう。
そんな中で、私たちコーチ・エィは、「リーダーシップ」を起動させたいと考えています。
「リーダーシップ」には、さまざまな解釈や定義が存在します。一言でまとめるには難しい概念ですが、コーチ・エィでは、リーダーシップを「環境に働きかけ、変化させる力」と捉えています。環境の被害者になり、受け身のスタンスでいるのではなく、自分から能動的、主体的に環境に働きかけ、それを変えていく力のことです。つまり、「会社がこうだから、上司がこうだから」と言い訳ばかりするのではなく、自ら変化を創り出していこうとする、その力をリーダーシップと考えています。
ですから、私たちコーチ・エィにとっての「組織開発」とは、組織の中に眠っている多くの人のリーダーシップ、つまり環境に働きかけ、変化させる力、を起動させていくことにほかなりません。
リーダーシップを起動させるのは誰か
では、誰が人の中にあるリーダーシップを起動させるのでしょうか。
それは「リーダー」です。
コーチ・エィでは、「リーダー」とは、役職についているかどうかに関係なく、「環境に働きかける力」をもつ人を指します。そういった「リーダー」が、周囲の人たちのリーダーシップ(環境に働きかけ、変化させる力)を開発していけば、それが組織全体に連鎖していくことになります。組織の中の「変化させる力」が開発されることで、組織には変革の土壌が培われます。
そして、興味深いのは、環境に働きかける力をもつ「リーダー」は、他の人のリーダーシップ開発に携わる中で、本人自身がさらにリーダーとして開発されていくという点です。
他者を開発するプロセスで、開発する側にはより高い自覚がうまれ、環境に働きかける力がさらに磨かれていきます。つまり、他のリーダーを開発する中で、リーダーとしての能力がさらに高まっていくわけです。
従来、個別のものとして議論されることが多い「リーダー開発」や「組織開発」「組織変革」は、実際には一体不可分なものであり、どれか一つだけを取り上げて論ずることは不可能だと思うのです。
組織開発は組織変革に向けたプロセス
私たちコーチ・エィの役割は、リーダーが新たなリーダーを開発する「プロセス」をコーチすることです。そうすることで、組織全体におけるリーダーシップの向上を支援しています。
先に述べた通り、「組織全体におけるリーダーシップの向上」とは、まさに組織全体を変えていく力そのものの向上を指します。つまり、組織開発とは組織変革のプロセスなのです。
経営者に対するエグゼクティブ・コーチングの中で、私たちは、組織を中期的にどう変えていきたいのかを、繰り返し、繰り返し問いかけます。そうすることで、組織変革の方向性が非常にはっきりしていきます。
エグゼクティブ・コーチングで組織変革の方向性を明らかにし、それを実現するために、DCDによる組織開発/リーダー開発で組織の「変化を起こす力」を高めていく。
これが、私たちの考える、組織変革、組織開発、そしてリーダー開発です。
みなさんはこの3つをどのように捉えていらっしゃるでしょうか?
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