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「対話」が未来を創る

「対話」が未来を創る
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「コーチは、変化する未来に向けたエージェントである。」

この言葉は、社会構成主義の研究者、ケネス・ガーゲン氏の言葉です。「エージェント」は一般的に「代理人、代理店」という意味に訳されることが多い言葉ですが、語源をたどっていくと「実行する人、推進する人」という意味があります。

さらに「変化する未来」という言葉は、何を意味するのでしょうか。なぜ単に「未来」ではなく「変化する未来」なのでしょうか。

未来とは、過去から現在の延長線上に存在するものではありません。「今ここ」での対話によって創られるものであり、「今ここ」での対話によって未来は変化する。

つまり、ガーゲン氏の言葉は、次のように言い換えることができます。

「コーチとは、対話によって未来を創造する実行者である。」

さらには「対話を起こす人をコーチと呼ぶ」と、解釈してもよいかもしれません。

「対話」に必要な「主観」

対話とは、互いに「問い」を共有し、その問いに対して、自分自身のこれまでの「経験」や「解釈」、「価値観」に基づいて、両者が自分の主観を話す。そして、お互いの間にある「違い」をすり合わせ、そこに新しい「意味」「理解」「知識」を創り出すプロセスと考えることができます。

会話には明確な目的やゴールがありません。一方、対話は、何らかのテーマに基づいて、それぞれの意見を出し合い、新しい解釈を創造するという目的があります。

自分の思っていることを話す。
自分の「主観」を話す。

簡単に聞こえますが、実のところ、これは決して簡単なことではありません。

主観を話すことが難しい理由

いざ主観を話そうとすると、そこにリスクがあることに気づきます。

自分の「主観」と相手の「主観」には、往々にして違いがあるものです。そもそも違う人間なのですから、同じものを体験しても、違うことを感じ、違うことを思うのは当たり前のことです。しかし「違い」は常に、お互いに対する誤解や対立の可能性をはらんでいます。

頭では、会社のために、相手のために、自分のいま思っていること、感じていることを伝えたほうがいいとわかっている。でも、それを言うことで、相手にどう思われるだろう、もし対立が起こって自分が攻撃されたらどうしよう、などの考えが頭をめぐります。

たとえば、「これを言ったら、上司の機嫌が悪くなるかもしれない」と思って言わない。
あるいは、「なんとなく違和感があるんだけど、自分の意見が合っているかどうか自信がない」と思って言わない。

言わない理由は様々ですが、結局、躊躇する理由は、自分自身を守るためです。このような保身は、ほぼ無意識的、自動的に、一瞬の間に起きているのだと思います。

わかっているのに、できない

自分の意見を言った方がよい。頭ではわかっているけれど、できない。そこで結局、一般論や、第三者的な立場の意見を言うにとどまってしまう。

しかし、主観を持ち込まなければ、対話を起こすことはできません。つまり、未来は変化しない。あなたが未来の創り手となる機会を逃しているとも言えます。

頭で「わかっていること」と実際に「できること」の間には、大きな溝があります。どうやったらその溝を埋めることができるのでしょうか?

「対話は大事だ」といくら正論を並べても、「躊躇せずに声を上げることが大事だ」と精神論で叱咤激励しても、新しいコミュニケーションのスキルを覚えても、この溝を埋めることはできません。その人の内側で、「対話」に対する「理解」と「体験」が変わらない限り、この溝が埋まることはないのです。

そして、逆説的に聞こえるかもしれませんが、対話に対する解釈や理解の変化は、他者との対話を通じて起こります。

主観を話し、主観を聞くことで「理解」が変わる

「対話」を通じて、対話に対する解釈や理解の変化が起きるとはどういうことなのか。

以下は、弊社の提供するプログラム『3分間コーチ・ワークショップ』に参加された方のコメントです。

「これまで、部署内の情報共有ミーティングは、発言する人と全く発言しない人と2つのグループに分かれていました。ミーティングの中で、限られた数人だけでキャッチボールが行われていて、それ以外のメンバーはただ参加しているだけという状況でした。私は発言を全くしない側だったのですが、3分間コーチ・ワークショップで『問い』がコミュニケーションのきっかけになるということを体験して、意を決して質問をしてみたのです。その瞬間、メンバー全員がびっくりしていましたが、それをきっかけに、ちょっとずつ自分にもボールが回ってくるようになったと思っています。そこから2ヶ月経った今、全員にボールが回るようにミーティングが変わりました」

「3分間コーチ・ワークショップ」では、二人組になって「問い」を間に置き、自分の主観を話す時間がたくさんあります。何度も話すことで自分の主観が明確になっていくと同時に、それを口に出し、聞いてもらうことの価値を体験します。その体験を通じて、参加者の対話に対する理解は変化し、自ら対話を起こしていくことができるようになります。もう一つ、体験談をご紹介します。

「『私が言いたいことを伝えても、相手の役に立たないかもしれない』という考えから、『相手にとって必要なものは何か、というところから逆算して自分の考えを伝える』という発想に変わりました。今までなら上司に自分の考えを言おうとするときに、どうやって伝えればいいかを悩んでいましたが、相手にとって何が必要かを考えることで、躊躇がなくなり、仕事をサクサクこなせるようになりました」

このお二人の体験を聞くと、ワークショップの中でたくさん「主観」を話すことで、「対話」に対する認識が変わり、自分から対話を起こす一歩を踏み出されたことが伝わります。そして、その一歩によって、未来が変わったこともわかります。

対話によって未来を創る。
その第一歩は「自分から対話を起こす」ことなのだと思います。

あなたは、未来のために誰との対話を起こしたいですか。

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