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マネジメントをコーチング型に変える5つのヒント

【原文】Manager and Coach: Making Both Work for You
マネジメントをコーチング型に変える5つのヒント
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Language: English

マネジメントにコーチングスキルを取り入れることは、仕事で成果をもたらす効果的かつ効率的な方法であるという認識が広がっている。アメリカ経営者協会(American Management Association: AMA)が実施した調査によれば、アメリカの組織の52%でコーチング・プログラムが導入されており、現在導入していない組織でも37%が将来的に導入する予定だという。

コーチングスキル研修を受けたマネージャーは、パフォーマンスや部下とのエンゲージメントにおいて効果を発揮することができると調査で明らかになっている。

従来型マネジメントとコーチングマネジメントの違いとは

従来型のマネジメントとコーチングマネジメントの最大の違いは、そのプロセスにある。従来のマネジメント手法では、部下に指示したり、未完了または中途半端な仕事を部下に代わって仕上げたり、スタッフのやる気を高めたり(そのように努める)するほか、年次の業績評価を行ったりする。コーチングは、少し違う。マネージャーは、答えを出したり、仕事の後始末をしたりするのではなく、相手が学びを得られるような質問をする。そして、部下が自発的に行動するように手助けをして、毎日、あるいは一週間に一回、フィードバックをする。

マネージャーは「リーダー」なのか、あるいは「管理者」なのか、それとも両方なのかについての議論に代わって、コーチング型マネージャーという新しい概念が生まれつつある。コーチング型マネージャーとはマネジメントにコーチングアプローチを採用している人のことだ。コーチングアプローチを活用しているマネージャーは、次のような考えを取り入れる傾向が強い。

  • 非効率で非効果的な指示命令型のマネジメントは採用しない。
  • 相手の可能性を信じる。
  • 何を達成できるのかを中長期的視点で考え、長期的なコーチングの成果を目指して、チームのスキルを伸ばすことに注力する。
  • チーム全員で目標と戦略を設定し、戦略の実施方法に関与する。

コーチング型マネージャーは何をしているのか

コーチング型マネージャーは、部下のマネジメントに一般に認められているコーチングスキルを取り入れるほか、以下のことも実施する。

  • 部下との関係を構築するために、時間を労力を費やす。
  • 部下が効果的にパフォーマンスを発揮することに対する障害を取り除く。
  • 部下とのコミュニケーションに十分な時間を取る。
  • 先入観を持たず、未来についてなど、部下の意見を有効で参考になると捉える。

なによりも、コーチング型マネージャーは一緒に働く人たちに尽くすことが自身の役割と考えており、そのために相手を力づけ、サポートするスキルを磨く。

コーチング型マネージャーになるには

優れたコーチは、相手との接し方について意識を高める時間をとる必要がある。360度評価、性格分析、チームの役割分析などのツールは、あなた自身の長所と短所に対する認識を深めるのに役立つだろう。また、共感力を高める練習をすることで、よりオープンなコミュニケーションが可能になり、相手のニーズに対する意識が高まる。

従来型からコーチング型へマネジメントを転換するための5つのヒント

  1. 互いに合意した目標を設定する。

    コーチングでは、目標に焦点を当てる。内容が明確で、コーチングを受ける人がコミットできる目標を立てるように設計されている。部下に目標を指示するだけでは、同意やアカウンタビリティを得ることにはならない。そこで、コーチはキャリア上の目標やその目標を達成するために必要なステップについて踏み込んだ質問をしていく。

  2. 答えを与えるのではなく、質問をする。

    部下があなたが解決してくれることを期待して問題を報告してきても、アドバイスはしない。その代わり、自由回答式の質問(オープン・クエスチョン)をして、クリティカルシンキングを促す。例えば、「あなたはどう考えていますか?」とか、「どんな手順を取りますか?」とたずねてみる。ここでは、部下に適切に判断する能力を身につけさせ、自ら考えて動くことができるようにすることが目的である。

  3. 困難な仕事を任せる。

    ほかに誰もやらないから自分で全部やらなければならない、とこぼすマネージャーがたくさんいる。これは効果的に仕事を割り当てていない証拠である。時間を作って、部下に新しいスキルを身につけさせることを検討する。また、失敗をしたら(するはずである)、部下に代わって対応するのではなく、部下が自分で問題を解決することができるよう導く。

  4. 常にフィードバックをする。

    調査によると、フィードバックは、タイムリーに行うほうが年に一度や二度行うよりはるかに効果的であることが明らかになっている。常に変化し続けるプロジェクトや仕事量をこなしていくには一定の励ましが必要である。

  5. 能力開発のモデルを示す。

    人に影響を与える最も効果的な方法の一つは、自己の成長を示すことである。読書、トレーニング、コーチング、自己の振り返りなど、自己啓発に投資する。

Language: English

参考文献

Masterful Coaching (2008) by Robert Hargrove.
The Manager’s Pocket Guide to Workplace Coaching (2011) by Daniel A. Feldman
Impact of Executive Coaching: Behavioral Change, Organizational Outcomes, and Return on Investment. The Manchester Review, 2001, volume 6, number 1.
Organizational investments in social capital, managerial coaching, and employee work-related performance (Liu and Batt, 2010; Ellinger, Ellinger, Bachrach, Wang, and Bas, 2011)

筆者について

メルシー・ミグリノ(Merci Miglino、MCC)氏は20年にわたるコーチング経験を持つ国際コーチング連盟(ICF)MCCの認定資格をもつコーチ。彼女の経験と生まれながらの感情知能(EQ)は、エグゼクティブがビジネスの成果につながるリーダーシップスキルを維持し向上することをサポートしている。

【翻訳】Hello, Coaching! 編集部
【原文】Manager and Coach: Making Both Work for You
(2019年11月11日にコーチ・エィのE-Newsletter(英語版メールマガジン)に掲載された記事の翻訳。筆者の許可を得て翻訳・掲載しています。)


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Language: English

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