リーダーシップミニ講座

リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチ型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。


【コーチング型リーダーのコミュニケーション】 第3回 コーチングフロー(コーチングの流れ)

【コーチング型リーダーのコミュニケーション】 第3回 コーチングフロー(コーチングの流れ)
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リーダーシップミニ講座、シリーズ4のテーマは「コーチングフロー(コーチングの流れ)」です。

第1回 「コーチング型アプローチ」とは
第2回 コーチングの3原則
第3回 コーチングの流れ

第3回 コーチングフロー(コーチングの流れ)

「コーチング型アプローチ」のナビゲーターの役割を果たすのが、「コーチングフロー(コーチングの流れ)」です。コーチングフローは、次の6つのステップで構成されています。

1 セットアップ
2 セッション(会話・対話)の目標を明確にする
3 現状と望ましい状態を明確にする
4 ギャップを明確にする
5 行動を決定する
6 エバリュエーション

コーチングフローの活用によって、目標達成に向けて行動を起こすことをサポートしたり、会話を俯瞰したりすることができるようになります。

それぞれのステップを具体的に見ていきます。

1 セットアップ

最初のステップでは、コーチングをする環境をつくります。

これから始める会話がコーチングであることを確認し、同意をとります。たとえば、相手がアドバイスやティーチングを望んでいる場合、この確認・同意が不十分だと、相手は会話に未完了を残したり、不全感をもったりしながら会話を続けることになるので、注意が必要です。 セットアップがうまくできれば、即座に答えを教えたり、アドバイスしたりするのではなく、相手のクリエイティビティを引き出す会話をすることができます。
なお、このステップは、普段からコーチング・セッションをしているなど、すでにコーチングを行う関係性や同意ができている場合は、省略することもあります。

また、このステップでは、互いの緊張をとく、アイスブレイクの時間であることにも意識を向けるといいでしょう。

2 セッション(会話・対話)における目標を明確にする

コーチングは、長期的な目標の達成に向けた継続的な関わりになります。このステップでは、長期的な目標の再確認と、その目標に到達するためにコーチング・セッションの中で何をテーマにするかを確認します。

3 現状と望ましい状態を明確にする

設定したテーマに対して、現状を明らかにするステップです。その時間において実現したい望ましい状態とは、具体的に「どのような状態か」、それに対して「今どんな状況にあって、どんな状態なのか」を扱います。

4 ギャップを明確にする

実現したい望ましい状態と現状との間に存在する「ギャップ」を明確にするステップです。

このギャップについての理解を深めることで、次のステップである、「具体的な行動」へとつなげます。

5 行動を決定する

コーチングにおける成果の一つは行動変容です。行動変容とは、次のいずれかが実行されることにあります。

スタート(新しい行動を起こす)
チェンジ(今までとやり方を変える)
ストップ(今までやっていたことをやめる)

さまざまな可能性や選択肢、タイムライン、想定される障害などを検討しながら、どのような行動を起こすかを明確にします。

行動プランは、コーチを受ける人とコーチの共同作業によってつくりますが、最終的に、選択し、決めるのはコーチングを受ける人です。どのような行動をとるか、本人が自分の言葉で話すことでコミットメントが高まります。もしコーチ側がそれを引き受けてしまうと、コーチ側に責任が生じ、本人のコミットメントは得られません。本人が自身で行動計画について言語化すること、それがコーチングの関係性を成功させるためにもとても重要です。

6 エバリュエーション

コーチング・セッションで話した内容について、振り返りを行うステップです。気づいたこと、明確になったこと、明確にならなかったこと、整理されたこと、残された課題などについて振り返りを行います。最後にコーチング・セッションについてのフィードバックをもらいます。

また、このステップでは、状況に応じて、次のコーチングの約束をすると効果的です。行動に対する責任感は、次の約束を決めることから発生します。ですから、次のコーチングの約束は大切に扱う必要があります。できる限り日程の変更をせず、焦点を保ち続けます。もし、コーチ側が次の約束を変更したとしたら、相手の中でのコーチングに対する価値が崩れてしまいます。これは特に、いそがしい職場におけるコーチングの関係性において注意が必要です。

ここまで簡単に6つのステップを順に見てきました。対話の目的やゴールを共有した上で進めることができれば、短い時間でもこのフローに沿って対話することができるようになります。

また、コーチングフローは、ときに、順番通りにはならないこともあります。たとえば、一つのステップを深く掘り下げることが有効な場合もありますし、ステップを行ったりきたりすることが効果的な場合もあります。

重要なのは、フローを活用することで、コーチングを受ける側が完全に自分のことを理解し、探求することであって、フロー通りに話を進めることではありません。最大のサポートをするために、このフローの使い方については、柔軟に取り組んでください。

「コーチング型アプローチ」を磨くミニワーク

まずは、現状を把握することから始めます。

あなたは普段、コーチングフローのどのステップに時間を費やすことが多いでしょうか?
逆にあなたがあまり時間をかけていないステップはどこでしょうか?
どのステップを強化するとあなたの「コーチング型アプローチ」はより強力なものとなるでしょうか?


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