部下などに対するコーチングの実践やセルフコーチングに使えるさまざまなツールを紹介するコーナーです。ツールをうまく使いこなして、コーチングをレベルアップさせましょう。
エネルギーマネジメントでパフォーマンスアップ!(1)~ まず、エネルギー漏れを防げ!
2019年10月29日
(1) | まず、エネルギー漏れを防げ! |
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(2) | エネルギーを効果的に活用する! |
(3) | 新たなエネルギー源を確保する! |
エネルギーマネジメントとは?
ゴールに向けて、何をするか、それをどうやるか。
そうした計画、戦略、必要なスキル・知識の習得はたしかに大切です。しかし、それらが揃えば順調に行動してゴールを達成できるかというと、そうでもないことは、皆さんも経験があることと思います。
そんなときに、ぜひ注目したいこと。
それが今回のテーマ「エネルギーマネジメント」です。
エネルギーはガソリンと同じ
ここでちょっと、ゴールに向けた行動を車のドライブに例えて考えてみましょう。
まず行き先を決め、そこまでのドライブ計画を立て、車を用意・整備する。(計画・戦略・準備)
もちろん免許もドライビングテクニック、カーナビもバッチリ。(必要なスキル・知識・情報)
渋滞や事故に備えて、第2ルート、第3ルートも計画済み。(リスクマネジメント)
そして、出発!
ところが...
「あ、ガソリンが足りない。」
もしくは
「あ〜、昨日の寝不足がたたって眠くなってきた。このまま運転するのは危ないな...」
そして、車は止まってしまう。
つまり、注目すべき問題は「エネルギー」です。順調に進むには、ガソリンも元気も満タンな状態が必要です。
さまざまな場面でエネルギーは奪われている
では、日常生活に話題を戻しましょう。
日々の活動をするだけでも、多くのエネルギーを使います。それに加え、新しい行動を起こしたり、チャレンジしていくには、かなりのエネルギーが必要です。
一方で、気がかりや人間関係など、ちょっとした些細なことが私たちのエネルギーを奪います。
ですから、行動を継続し、前進し続けるには、常にエネルギーの状態に気を配り良い状態を保つこと、つまり「エネルギーマネジメント」が必要となります。
そこで、今回ご紹介するのが、エネルギーマネジメントに使えるコーチングツールとエネルギーマネジメントのための以下の3つのアプローチです。
- エネルギー漏れを防ぐ
- エネルギーを有効活用する
- 新たなエネルギーを得る
それぞれの取り組みで使えるツールと実行のヒントを、3回連続でお届けします。
まずは、エネルギーマネジメントのファーストステップ「エネルギー漏れを防ぐ」についてみていきましょう。
まず取り掛かるのは、「エネルギー漏れ」
力を発揮したいのに、知らず知らずのうちにエネルギーが奪われていく...
あなたにもそんな経験はないでしょうか?
たとえば、穴の空いたコップに水をいくら注いでも、コップの水はたまりません。たとえ一つひとつの穴は小さかったとしても、それが多ければ、水漏れはどんどんひどくなります。
必要なのは、穴をふさぎ、漏れを防ぐこと。
つまり、「エネルギー漏れをなくす」。これが、エネルギーマネジメントにおいて、まず取り組むべきことです。
そのために役立つツールを2つご紹介しましょう。
1. 未完了をなくす
エネルギー漏れを起こさせる代表的な穴の一つ、それが「未完了」です。
未完了とは、たとえば次のような事柄や気がかりです。
- 返信していないメール、返事を書いていない手紙
- 借りたままになっているもの
- 決断をペンディングにしたままの案件
- 伝えるべきお礼や謝罪をしていないこと
- 様子が気になりつつ声をかけ損ねている部下がいること
こうした未完了はいつも頭の中の一角を陣取り、私たちの注意やエネルギーを奪い続けます。一方で、こうした未完了を一つでも完了させることで、私たちはエネルギーの高まりを感じることができます。
そこで役立つのがこのツールです。
未完了をなくす(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
このツールでは、未完了を書き出し、それを完了させることに取り組みます。
やることはシンプルですが、効果は絶大。そして、ちょっとコツがいります。
たとえば、
- 比較的取り組みやすいものから取りかかること
いきなり大きな未完了から取り組むと、気持ちも足取りも重くなります。小さなことでも完了するとエネルギーは確実に上がります。まずはそれで勢いをつけていきましょう!
- 全部、すぐに、完璧に、は手放すこと
一つひとつは些細なことでも、全部を、すぐに、完璧に完了させるのは無理です。むしろそのこと自体がプレッシャーとなり、新たな未完了を生むことになります。優先順位をつけること、場合によっては、取捨選択も必要です。ポイントは「それを完了すればエネルギーが上がるかどうか」。場合によっては、「この未完了にはあえて今は取り組まない」と決めることも一つの完了です。
- 新たな「未完了」を生み出さない仕組みを
未完了の完了に取り組んでいると、自分の癖のようなものに気づきます。たとえば、提出期限に遅れがち、返信をためがち、といったものです。その傾向をつかんだら、新たな未完了を生み出さないための仕組みをつくると有効です。
ぜひ、まずはいくつかの未完了の完了に取り組んでみてください。
完了し、リストにチェックをつける瞬間、エネルギーの高まりを感じるはずです。
2.「妥協」を減らす
私たちのエネルギーを奪いとるもうひとつの代表的な穴、それが「妥協」です。
意識的にも、また無意識にも、私たちは案外多くのことを妥協しています。
「これで我慢しておこう」「まあ、いいか」「仕方ない」と我慢したり、なかったことにしてしまう場合はないでしょうか。たとえば、次のようなことです。
- 仕事がしにくい職場のレイアウト
- 同僚の気になる言動(電話の邪魔になるほど声が大きい、ちょっとだけ遅刻してくるなど)
- 出席の必要を感じないが、なんとなく出ている毎週の会議
さて、あなたは日々どんな妥協をしているでしょうか?
もっともエネルギーを奪っている妥協はどれでしょうか?
そんな妥協を書き出し、見つめ直すためのツールがこちらです。
妥協しない(Test.jp 内「コーチヴィル」より)
このツールでは、「家庭や環境」「人間関係」「仕事」の3領域について、自分がしている妥協を書き出します。その上で、一つひとつの妥協や妥協の核となっていることを明確にし、必要に応じて妥協を取り除く方策について検討します。
ここで注意すべき点があります。
実は、妥協には「妥協することで得ているメリット」があります。たとえば、先の例でいえば、
- 仕事がしにくい職場のレイアウト
レイアウト変更を提案・申請する手間、それについての反対意見への対応、実際のレイアウト変更の手間などを省くことができる
- 同僚の気になる言動(電話の邪魔になるほど声が大きい、ちょっとだけ遅刻してくるなど)
それを指摘する気まずさ、自分も指摘され返すのではないかという恐れなどを回避できる
- 出席の必要を感じないが、なんとなく出ている会議
断る手間、やる気がないのではと上司に思われる恐れの回避、これまでの行動を継続する安心感など
もし、現時点で、その妥協するメリットのほうが大きければ、その妥協はアリです。
必要なのは、エネルギーを奪う妥協をなくすこと。
妥協をリストアップ&整理して、エネルギーアップに有効な妥協の撲滅にぜひ取り組んでみてください。
いかがでしたか?
この「漏れを防ぐ」というのは、エネルギーマネジメントにおいて、比較的すぐに取りかかりやすく、また効果を実感しやすい取り組みです。ぜひこれを機に「エネルギー漏れストップ!」に取り組んでみてください。
次回は、「エネルギーを有効活用する」ために効果的なツールをご紹介します。
同じエネルギー量でも、使い方次第でその成果や有効性は大きく違ってきます。ツールを活用して、自分のエネルギー活用状況を把握し、エネルギーを有効活用する方法を模索します。
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