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組織力を高めるリーダーが使い分ける「3種の質問」

組織力を高めるリーダーが使い分ける「3種の質問」
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最近、書店で「質問」をテーマにした書籍を見かけます。それらの書籍には、「質問」についてこんな記述があります。

「人生では『投げかけた質問』の答えしか返ってこない」
―――人を動かす人の「質問力」 ジョン・C・マクスウェル

「質問することよりも自分が話すことに比重が置かれている。
しかし、人の上に立つ者こそ、『謙虚に問いかける』ことが必要だ」
―――問いかける技術 エドガー・H・シャイン

「質問」の有効性を語る意見は複数あります。しかし、日常では、良い「答え」を検討することは多いものの、良い「質問」について考える機会は少ないのではないでしょうか。

真夜中の森では、ライトで暗闇のどこを照らすかによって、見つかるものは変わってきます。同じように「質問」というライトで、現状のどの側面を照らすのかによって、見つかる「答え」は変わってくるのではないかと思います。

良い質問は、良い答えの「導き手」になるといっても過言ではありません。

では、質問にはどんな種類があり、どんな質問が効果的なのでしょうか。ここから、3種類の質問を紹介していきます。

リーダーが陥りがちな「確認質問」

コーチングを学び始めたばかりの方に「質問」を作ってもらうと、ある傾向があります。それは、クローズド・クエスチョンが多いということです。クローズド・クエスチョンとは、「はい」か「いいえ」で答える質問のことです。たとえば、「あの資料は、もう完成したの?」といった質問です。

もうひとつ、自由に回答できる5W1Hを使った質問をオープン・クエスチョンといいます。

コーチングでは、相手が考えて話すことを促すために、コーチはオープン・クエスチョンを多用します。しかし、コーチングを始めたばかりのリーダーには「オープン・クエスチョンをしようと思うのに、どうしてもクローズドになってしまう」という現象が起こります。なぜ、そうなってしまうのでしょう。

人は仕事をする中で、良い「答え」をいち早く見つけようと頭を働かせています。そのため、コーチング中も、リーダーは話を聞きながら自動的に「答え」を考える解決モードに入ってしまいます。そうなると、検討すべきチェックリストが頭に浮かび、「あれはやっているのか?」「この方法は試したのか?」という「確認質問」が次々に口に出てくるようになります。

コーチング研究所の調査でも、上司が部下にする質問は、「指示したことが進んでいるか?」というものが他の質問よりも多いという結果となっています。(※3)

つまり、コーチングをしているリーダーが、「自分」に必要な情報を部下に確認している状態です。こうした「確認質問」は、暗闇でのライトでいえばペンライトです。質問者が気になる場所をピンポイントで照らし、質問された側は照らされた狭い範囲がどんな状態かを伝えるだけの役割になっているといえるでしょう。

クローズド・クエスチョンの多いリーダーに、私は次の質問を投げかけるようにしています。それは、「その問題の答えを考えるのは『誰』ですか?」という質問です。

相手の成長には、相手自身が「答え」を考えなければいけません。そのためには、「確認質問」ではなく、相手の考えを促す「促進質問」が必要となります。

相手が考える「促進質問」

具体的にどうするかというと、頭の中に出てきた「確認質問」を、5W1Hのオープン・クエスチョンに言い換えてみるのです。「その問題は、前任者に相談したの?」という質問であれば、「その問題を相談するとしたら誰がいい?」「問題解決のために足りない情報は何だと思う?」と変換することができます。

「促進質問」は、質問者が気になる領域にランプを掲げ、照らされた範囲を相手が探索する質問といえます。答えを探すのは、あくまでも問われた相手側の役割です。こうして「促進質問」をしていくと、質問者の想像を超える答えが出てくる場合も出てきます。それは、「確認質問」では出しえなかった、新たな「答え」をふたりで手に入れた瞬間といえるのではないでしょうか。

共に考える「共創質問」

ここまで、「答え」を考える主体が異なる「確認質問」と「促進質問」を紹介してきました。私はさらにもうひとつ、3つ目の質問があると思います。

それは、自分と相手で問いを共有し、答えを共に考えるための質問です。

これを「共創質問」と呼ぶことにします。たとえば「最高の顧客満足とはどんなものだろう?」という質問です。これは、いわゆるボトムアップ型のアプローチです。ボトムアップ型は、意見がまとまった時には参加者の納得度が高くなる利点がありますが、リーダーの思惑とはずれたところに着地してしまう可能性もあります。

この点は、どんな質問を共有するかで解決できる場合があります。「最高の顧客満足とはどんなものだろう?」が一番ボトムアップの幅がある質問とした場合、関連して次のような質問も考えられます。

「他社が真似できないクオリティの顧客満足とはどんなものだろう?」
「現在はないけれど、顧客が求めているものは何だろう?」

これは、はじめの質問よりもリーダーの意向が反映されています。議論の範囲をコントロールすることでボトムアップのレベルを調整することができるのです。

「共創質問」は、組織の頭脳をその質問の「答え」に向けて動かします。「共創質問」は、リーダーが進む方角に対して照明弾を打ち上げるようなイメージです。光が広く大地を照らし、メンバー全員でその場所を探索し、さまざまなものを発見します。

組織マネジメントにおいて、リーダーがメンバーとどんな質問を共有するのかは、とても重要なことであると思います。

あなたが、メンバーと共に答えを考えたい「共創質問」はどんなものでしょうか。

あなたの質問の傾向は?

ここまで、3種類の質問を紹介しました

あらためて、自分自身の質問を振り返ると、どんな傾向があるでしょうか。

3種類の質問を使いこなし、効果的な質問を増やすことは、あなたのリーダーシップを後押しします。 さらに、質問を受けた相手を成長させ、ひいては組織を前進させることにもつながっていくでしょう。

あなたがどんな光をあてるかで、組織が発見するものは変わるのです。

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【参考資料】
※1  ジョン・C・マクスウェル(著)、岡本 行夫(監修, 翻訳) 、『人を動かす人の「質問力」: この「問題意識」が結果を出し、組織を強くする』 、三笠書房、2016年
※2 エドガー・H・シャイン(著)、金井 壽宏(監修)、原賀 真紀子(翻訳)、『問いかける技術――確かな人間関係と優れた組織をつくる』、英治出版、2014年
※3 WEEKLY GLOBAL COACH 読者アンケート調査「上司の質問に関するアンケート調査(No.10)」 、実施期間:2016年4月6日~4月26日、回答者数:330件

※営利、非営利、イントラネットを問わず、本記事を許可なく複製、転用、販売など二次利用することを禁じます。転載、その他の利用のご希望がある場合は、編集部までお問い合わせください。

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