Coach's VIEW は、コーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。最新のコーチング情報やコーチングに関するリサーチ結果、海外文献や書籍等の紹介を通じて、組織開発やリーダー開発など、グローバルビジネスを加速するヒントを提供しています。
3分間でコーチする
コピーしました コピーに失敗しました直属の部下へのコーチングに関する調査データをご紹介します。(コーチング研究所調べ)
【部下に変化をもたらすコーチングのポイント】
1位 定期的にすること
2位 次のセッションまでの行動を明確にすること
【部下に効果的なコーチングができていないコーチの特徴】
1位 定期的にしない
2位 指示・アドバイスする
この結果からは、直属の部下をコーチする場合に、その成果を確実なものとするには、次の3点が重要な要素だということがわかります。
- 定期的に行うこと
- 次のセッションまでの行動の明確化を行うこと
- 指示やアドバイスをしないこと
能力とプラットフォーム
「エピジェネティクス」という医学用語があります。
ヒトが持っている2万以上の遺伝子はそのすべてが機能を発揮しているわけではない。一つひとつの遺伝子機能を発揮させるためのスイッチがあり、そのスイッチのオンオフは「環境」に影響を受けている、という遺伝子に関する研究分野のひとつです。
* * *
私たちは、組織というプラットフォームの上でコミュニケーションをとっています。
プラットフォームとは、私たちが共有している環境や基盤、時間を意味しています。
会社という大きなプラットフォームがあり、その中には会議や面談というプラットフォームがあります。談話室や給湯室、廊下での立ち話もプラットフォームのひとつです。
そして、それぞれのプラットフォームにはルールが存在しています。
そのルールのほとんどは、暗黙のルール。それを文化、風土、と呼ぶこともあるでしょう。
そして、私たちは、それぞれのプラットフォームがもつ特有の影響を受けて、ある能力が発揮されたり、発揮されなかったりする、と考えることができます。
組織でマネジメントに携わる人であれば、誰もが「質問」する能力も、「聞く」能力も、持っています。しかし、「上意下達の社風」というプラットフォームの上では、部下の意見を聞くことはあまりしない。つまり「聞く能力」を「発揮しにくい」のです。
私たちは、その能力を持っているかどうかという、「能力の有無」に目を向けがちです。
しかし、エピジェネティクス的に考えれば、どのようなプラットフォームにいるかによって、その能力が発揮されたり、されなかったりすることになります。
「能力の有無」も大切なことですが、「能力を発揮できるプラットフォーム」の上にいるか否かは、それと同じように重要なことなのです。
私たちは、もともと「質問」する能力も「聞く」能力も持っています。
誰もがコーチングをする能力をもっているのです。
どのような組織に属していたとしても、自分自身でその能力を発揮できるプラットフォームをつくることができれば、その巧拙はともかく、誰もがコーチングを始めることができるのだと思うのです。
3分間でコーチする
通常、コーチングは「30分間」「1時間」などの単位でセッションを定期的に実行します。
30分以上にわたって相手の目標達成に向けて様々な角度から「質問」して「聞く」ことに徹することができるようになるには、通常1年前後の専門的なトレーニングを受ける必要があります。
しかし、「質問」することも、「聞く」ことも、私たちが元々持っている能力です。30分間のコーチングは難しくても、3分間のコーチングであれば、トレーニングをしなくても今の力でできるかもしれません。
前述の「コーチングの成果を確実にするための3つの要素」をシンプルにまとめ、3分前後の短い時間で行うコーチングを「3分間コーチ」と呼んでいます。
「3分間コーチ」を実際に始めるための手順とポイントは、
- 「3分間コーチ」について説明し、理解してもらう
- 「3分間コーチ」を一緒にやってみよう! と誘う
- 1~2週間に1回以上の頻度で行う
- 時間を区切る(3分間、5分間、あるいは1分間、など)
- テーマは目標達成
- コーチは「質問」して「聞く」ことに徹する
- 正解を求めない
- アドバイスをしない
このようなセットアップによって二人の間に「3分間コーチ」というプラットフォームをつくることができれば、多くの人がコーチングを始めることができます。
「3分間コーチ」というプラットフォームをつくり、部下と一緒にその上に立つ。
「3分間コーチ」というプラットフォームの上に立つことができれば、誰もが「コーチをする」能力のスイッチをオンにすることができるのです。
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