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コミュニケーションの目的を選びなおす

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日常の中で行われる短いコーチングを「3分間コーチ」と呼んでいます。

先日、あるマネジャーから少し話したいとリクエストがあり、その場で「3分間コーチ」をすることになりました。

「3分間コーチ」は、「コミュニケーションに対する理解が変わらなければ、実際のコミュニケーションを変えることはできない」という前提に基づいて行われます。

Aさんのテーマは「部下のYさんを成長させること」でした。

AさんはYさんにプロジェクトの遂行を通して成長してほしいと考えており、頻繁にYさんと話す機会を設けているといいます。でも、それが思うようにいかない。

「もっとYさんの話を聞いた方がいいということは、わかっているんです。

でも、その場になると、プロジェクトについてあれこれチェックして、口を出してしまうことが多く、終わってみれば、結局、Yさんの話を聞いていない。

Yさんからの発信も少なく、一方通行になっているのがわかります。Yさんもそれを感じていて、最近自分を避けるようになっている気がします。

この状況を打開できずに困っています」

Aさんが「頭ではわかっているのに、変えられない」のは、なぜなのでしょうか?

わかっているのに、なぜ変えられないのか

AさんとYさんの関係が特別なわけではなく、私たちはしばしば、同様の現象に直面します。

この現象を

「コミュニケーションに対する理解が変わらなければ、コミュニケーションは変わらない」

という前提に基づいて考えてみます。

一般に「コミュニケーションを変える」というと、話の聞き方や質問の仕方など、テクニックやスキルを変えることを連想しがちです。

しかし、実は、スキルやテクニックを使っても、コミュニケーションそのものの変化にはつながりません。

コミュニケーションの目的を「相手を納得させることだ」と理解していれば、いかにうまく伝えるか、いかに上手にプレゼンをするかに注力するでしょう。

もし、コミュニケーションの目的を、「一緒に考える。相手の意見を聞くことに意味がある」と理解したら、相手の意見に耳を傾けるのでしょう。

たとえ、聞くスキルを身につけたとしても、目的の理解が異なっていれば、相手の話を聞くのは難しくなります。

「コミュニケーションに対する理解を変える」とは、コミュニケーションに対して無意識にもっている「意味づけ」や「思い込み」、「解釈」、「枠」、相手に対する「イメージ」、自分にとってのコミュニケーションの「目的」などについて、「体験的」に「気づき」、「選びなおす」ことを意味します。

私たちは、「言葉」というラベルを貼ることで世界を認識しています。

たとえば「仕事」という言葉の背景には、人それぞれの考えや、理解、体験、人とのつながりなど、到底一言では言い表せない想いがあるものです。

ところが、一度、言葉の「ラベル」を貼ってしまうと、いつの間にか一つのイメージが固定化し、思い込みになってしまったり、枠になってしまったりするものです。

問いを通して見えてくるもの

今、自分は「コミュニケーション」をどのように理解しているのか?

それに気づくためには、いくつかの問いに答えていく必要があります。私はAさんに、Yさんとのコミュニケーションについて質問をしました。

  • あなたは、マネジャーという役割をどう理解していますか?
  • あなたにとって、Yさんはどういう存在ですか?
  • Yさんと話そうと思った時にどのようなことを考えますか?
  • あなたが、Yさんとコミュニケーションをとる目的は何ですか?

話をする中で、Aさんはふと呟くように言いました。

「私はずいぶん『上から目線』ですね。ずっとYさんの足りないところを探している。

プロジェクトを通して、彼に成長してほしいと思ってやってきたつもりでした。でも、実際は、プロジェクトの失敗を避けるための粗探しが目的になっています。彼がどう思っているのかなんて、聞いたことがありません。これでは、彼が嫌になるのも当たり前ですね。

明日の打ち合わせでは、まず彼の想いを聞いてみたいと思います」

理解が変わると結果も変わる

翌日の打ち合わせは、それまでとまったく違うものになりました。

「Yさんは、いままでになく生き生きと話してくれました。Yさんの想いを興味をもって聞くことができたと思います」

それ以降、Yさんは自らの意見を積極的に言うようになり、Aさんは、本来「目的」としていた「Yさんの成長」を手にしつつあります。

Aさんは、無意識のコミュニケーションに対する理解や目的に気づくことで、改めて「目的」を選びなおし、実際のコミュニケーションを変えることができたのだと思います。

「3分間コーチ」は、

「コミュニケーションに対する理解が変わらなければ、コミュニケーションは変わらない」

この前提に基づいて、「問い」をつくります。

あなたにとって、コミュニケーションの目的は何ですか?

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