さまざまな分野においてプロフェッショナルとして活躍する方たちに Hello, Coaching! 編集部がインタビューしました。
男子カーリングチーム 軽井沢SCクラブ 山口剛史選手、両角公佑選手
第4章 さらなる高みへ
2017年11月16日
※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。
2018年2月に韓国の平昌(ピョンチャン)で開かれる第23回冬季オリンピック。その平昌(ピョンチャン)オリンピックに三度目の挑戦でオリンピックへの切符を手にした男子カーリング日本代表チーム。過去2回のオリンピックは、惜しいところで出場を逃しています。Hello, Coaching! 編集部では、今回、オリンピック出場の切符を手にした背景についてお話をうかがいました。
第1章 | 目標を共有して10年間 [コラム① カーリングについてもっと知ろう] |
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第2章 | オリンピック出場に向けた意識改革 [コラム②「氷を読む」ってどういうこと?] |
第3章 | チーム力で手にしたオリンピックへの切符 |
第4章 | さらなる高みへ |
※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。
当然の結果としてのオリンピック出場
「個の力を高める」ことを最優先に取り組まれ、「もっと強くなるには」と考えて、「チーム力」にシフトしたということですが、振り返ってみて「個」と「チーム」の両方の向上に同時に取り組むのは難しいことだったと思われますか。
両角 できないことはなかったと思います。ただ、当時は現在と違って、仕事が終わってから、それぞれ個人練習とトレーニングをして、それが終わるともう他の時間がなく、家に帰って休む時間、という生活をしていたので、正直、難しかったのかなとは思います。でも、単に「いそがしい」を言い訳にしていただけなのかもしれないと思うところもあるので、もう少しできることはあったかもしれません。
日本の男子のカーリングチームの強みを教えてください。
両角 ひとつはパワーです。身長190センチ、体重100キロといった体格の選手たちと比べても遜色ないような球を投げることができます。あとは真っ直ぐ投げる技術も高いと思います。
山口 チームのカラーや戦術は、他のチームには少ないタイプのものをもっていると思います。オフェンス(攻撃)レベルが高い。守りが堅いというよりは、攻撃的なスタイルをとるチームです。
意識的にそのようなスタイルをとってきたのでしょうか。
山口 そうです。なので、そのために必要な武器として、「速さ」、「力強さ」を身につける練習をしてきました。
今回出場を手にした一番の決め手はなんだったと思われますか。
両角 やはり、ソチが終わった後に、4年間の目標をしっかり立てたことです。オリンピックへの出場権を得る ために、出場大会ごとに「この大会では○位」、「こっちの大会では○位」ということを全員で決め、それ以上の成績を修めるために、一人ひとりには何が必要なのかということをそれぞれ考えてやってきたということが、一番の勝因だと思います。
さらなるレベルアップという観点で、現在の一番のテーマはなんでしょうか。
山口 攻撃レベルをさらに高めるためには、個人の技術をもっと安定させ、高い位置でキープしないといけません。我々のゲームスタイルは攻撃的な分、リスクが高いんです。ちょっとミスっただけで一気に崖っぷちの状態になってしまうので、その確率を低くしなければなりません。なので、個人の技術レベルの向上がまずは必要です。それに加えて、氷の読みのレベルアップです。それにはチームコミュニケーションがより必要だと思います。
現在のチームとしての目標は?
両角 今のところは、平昌(ピョンチャン)でメダルを獲りに行く、また、世界でトップを狙いに行くということを目標にしています。
メダルの色の目標もありますか。
両角 メダルの色は、当然、金がいいですね。
さらなる未来へ
オリンピックのもっと先、個人的な将来のビジョンはどのようなものですか。
両角 僕は、カーリングだけで食べていけるようになりたいと思っています。将来は、世界選手権に行くような男子チームを指導できたらいいと思います。カーリングを、日本に文化として根づかせることができるといいですね。カーリングの世界一はカナダなのですが、カナダではカーリングが文化になっています。
何が実現しているとそれが可能になるんですか。
両角 競技人口が増えて、知名度が上がる必要がありますね。
現在の日本における競技人口はどのくらいなのでしょうか。
両角 3000人に近づいたのですが、実は減ってきているんです。男子もオリンピックに出場することが決まり、盛り上がってるように見えるのですが、実際には競技人口が減っているんですよ。
過去何回かのオリンピックに女子の日本代表チームが出場して、カーリングを楽しみにしている人も増えてきていると思うのですが、やっぱりまだまだでしょうか。
両角 まだまだですね。オリンピックのときにしか盛り上がらないので。とはいえ、今は結果を出すことが大事だと思います。それこそメダルを獲るだけで、かなり知名度は上がると思うので、まずはそこですね。結果が出れば、当然露出も増えます。一番地道で難しいですが、一番の近道かもしれません。
山口 そうですね、結果は大事です。スポーツ選手には必要なことですね。
山口さんの個人的なビジョンは?
山口 僕も将来は指導に関わっていきたいと思います。またカーリング界がもっと発展できるような仕組みを作っていきたいと思っています。そのためにも、今は競技者として世界のトッププレーヤーになることやプロの選手になれるよう頑張っています。
オリンピック出場が決まって、日常にはどのような変化がありましたか。
両角 いまは、カーリングがほぼ仕事のような感じです。以前は、練習に使えるのは夜の時間だけで、大会の前だけ仕事を休んで、合宿で2週間くらい投げ込んでから大会に行くというような生活でした。とにかくカーリングに時間を使えるようになったというのは大きいですね。また、おかげさまで応援もたくさんいただいています。
このあとずっと遠征が続くとお聞きしています。
山口 12月の初めくらいまで、ずっと遠征が続きます。
平昌(ピョンチャン)での活躍を期待しています。カーリングの知名度を上げるためにも、ぜひメダルを獲得してください!
(了)
聞き手・撮影: Hello Coaching!編集部
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