リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【聞く力を磨く】 第3回 心を静かにし、自分の考えを一旦脇に置おけるようになる
2017年04月04日
リーダーシップミニ講座、シリーズ2のテーマは「聞く」です。
第1回 | メンバーの話に耳を傾ければ、目覚ましい結果が実現する |
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第2回 | 相手が充分に話すことができる場、関心をもって聞くことができる場をつくる |
第3回 | 心を静かにし、自分の考えを一旦脇に置おけるようになる |
第4回 | 話し手にすべての集中を向ける |
第5回 | 沈黙を活用する |
第3回 心を静かにし、自分の考えを一旦脇に置おけるようになる
自分の考え、想いなどに頭が支配されると、人の考え、想いに関心を向ける余裕がなくなります。自分との内なるおしゃべりが多く、自分への関心が意識に占める割合が大きくなるほど、相手の話を聞いたり、そこから学んだり、吸収したりすることが難しくなります。
相手から学べなくなるのは、自分の中に余裕がないためであり、受け入れる場所がなくなるからなのです。相手に完全な関心を向けるには、聞き手が余裕をもつことが必要です。
脳の中には、学習と想像を行う2つの領域があります。一方は視覚によって、もう一つは聴覚によって司られています。情報を得るための感覚器官は他にもありますが、情報の収集には、主にこの2つの器官が働きます。しかし、脳は、入ってきた情報にそのまま焦点を当てるわけではありません。いかなる瞬間も、脳は多くのイメージをもち、数多くの思考と連鎖させています。
たとえば、誰かの話を聞いているときも、脳は同時に、話し手の姿、あなたが座っている椅子、部屋の様子、隣にいる人の状態、相手が話していることを過去の体験と結びつける、など、さまざまな活動をしています。ですから、静寂の中にいるというよりむしろ、多くのことにいそがしく注意を向けているのが、脳の自然な状態と言えるでしょう。
ですから、思考を止めずに、特定のことに焦点を当てようとすると、脳は多くの対象物の中から、その瞬間に最も興味を惹かれるものを選びます。
では、聞くことに集中する前にどんなことをすればよいのでしょうか。
それは、まず、脳の中で行われている会話を静め、その後、相手に集中するよう、脳のエネルギーをそちらに向けることです。脳の会話を静めて、焦点を絞るということを練習すれば、相手に集中することができるようになります。生理学的な脳の仕組みとして、相手の話に集中し、そこから情報を得るために、まず練習が必要なのです。
聞く力を磨くミニワーク
1つのイメージに集中する
1日1回、1人になれる場所を探し、意識的に何か1つのことだけをイメージします。そして、そのイメージを、できる限り長くとどめます。
もし別のイメージや思考が入り込んできたら、それに意識を向けます。その後、一旦集中を中断し、心を静め、再び、最初に選んだイメージに集中します。この練習を、毎日少なくとも5分間実施します。
「聞いている自分」を観察する
相手の話を聞いているときに、自分の頭の中で起こる会話やイメージを観察します。
- どのような話題やイメージが存在しますか?
- 話を聞いているどの時点で、それは出てきましたか?
そして、自分の意識の動き方について学んだことを検討します。
聞くことに飽きるのはどのようなときかを特定する
相手の話を聞くことに脳が飽きたときのことにも意識を向けましょう。そこに何かパターンは存在しますか?
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