リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【聞く力を磨く】 第5回 沈黙を活用する
2017年04月20日
リーダーシップミニ講座、シリーズ2のテーマは「聞く」です。
第1回 | メンバーの話に耳を傾ければ、目覚ましい結果が実現する |
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第2回 | 相手が充分に話すことができる場、関心をもって聞くことができる場をつくる |
第3回 | 心を静かにし、自分の考えを一旦脇に置おけるようになる |
第4回 | 話し手にすべての集中を向ける |
第5回 | 沈黙を活用する |
第5回 沈黙を活用する
「沈黙を活かす」ということを学んだ経験のある人は、あまり多くはないのではないでしょうか。
会話の最中に「間」が生じたとしても、饒舌な言葉で埋める必要はない、つまり「沈黙」があってよい、ということを知る機会がなければ、沈黙が生じるたびに、なんとかしてその間を埋めようと、話してしまいます。そして、それが次第に習慣化し、私たちは「しゃべり続ける」ということを自然に身につけていきます。
ですから、沈黙について最初に取り組むのは、「沈黙に慣れること」、そして「不要な言葉で、饒舌にその空間を埋めないこと」の2つです。
そのためにはまず、沈黙がなぜ重要なのか、その効果を知ることが必要です。
沈黙の効果と重要性
聞くことにおいて、沈黙は重要な位置を占めます。
沈黙することは、「あなたのために、私の考えは一旦脇に置いている」ということを示し、話し手の言いたいことを受け止める準備があることを伝える機会でもあります。
また、沈黙を活用することで、次のような成果を生み出し、問題を防ぐことができます。
質問に対し、より多くの情報を得ることができる
沈黙のスペースが与えられると、話し手はそれまで自分が話したことについてさらに発展させ、話のより深い意味まで説明するようになります。 聞く側は、それを通して、相手が何によって動機づけられるのかについて知ることができます。
よりよい関係性を構築することができる
話を聞くために相手が沈黙して待ってくれる、という体験は、大事に扱われているという実感をもたらします。聞き手が、話し手とつながりをもつために沈黙することで、話し手はより積極的に関わりをもとうとします。自分が受け入れられていると感じ、それに報いようと思うのです。
相手の話したことについて考えることができる
沈黙の間に起こることは、聞き手も話し手も、そこで発言された内容についてあらためて考えるということです。このことにより、その発言に対する応答も、より思慮深く、洞察に富んだものとなります。
誤解を回避することができる
沈黙によって、伝えられた情報から理解できない点を検討したり、説明が必要とされるポイントを見極めたりすることができます。話し手は、そのことを通して「話を聞いてもらえた」と確信し、視点の違いを調整しながら、お互いを理解できるようになります。
沈黙することは、よりよく聞くための確固たる基盤となります。
沈黙は相手とのつながり、そして相手を理解するための強力なツールなのです。
聞く力を磨くミニワーク
沈黙を会話に取り入れる
これからの1ヶ月間、毎日3回、答える前に黙って5つ数える、という練習をします。そして、この取り組みによって何を学んだかを言語化します。
できれば、あなたがリーダーシップの向上に取り組んでいることを知っている部下や同僚に、沈黙の練習につき合ってくれるよう依頼してください。そして、彼らと会話をするときに「沈黙」を意識するようにしてください。
相手に集中し、相手への関心を高めるツールとして沈黙を使うことで、あらためてどんな発見があるでしょうか。彼らの感想も聞いてみましょう。
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