リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【聞く力を磨く】 第4回 話し手にすべての集中を向ける
2017年04月13日
リーダーシップミニ講座、シリーズ2のテーマは「聞く」です。
第1回 | メンバーの話に耳を傾ければ、目覚ましい結果が実現する |
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第2回 | 相手が充分に話すことができる場、関心をもって聞くことができる場をつくる |
第3回 | 心を静かにし、自分の考えを一旦脇に置おけるようになる |
第4回 | 話し手にすべての集中を向ける |
第5回 | 沈黙を活用する |
第4回 話し手にすべての集中を向ける
聞く能力を高めるには、いくつかのステップが必要です。
まずは、相手に関心を寄せ、相手が充分に話せる場をつくること、そして、相手の話に充分に耳を傾ける余裕(心を静かにし、一旦自分の考えを脇に置く)をもつことです。これらは相互に作用しながら、同時に進行します。
相手に関心をもち、集中するほど、相手への関心が生まれます。すると心が静かになり、相手の言うことに耳を傾けるようになり、話し手から学ぼうという余裕が生まれます。
相手、そして相手の話に集中することは、「相手とともに、そこに存在する」ということになります。真に聞くことができるリーダーは、五感のみならず、心、直観、身体、および感情のすべてを駆使して耳を傾けます。また、話し手が言っていることに集中するために、自分のフィルター、判断、信念を脇に置く、という能力も必要です。
聞くという作業とは、相手の言うことを蓄積し、総括し、記録し、考察するということの繰り返しです。そして、最も大切なのは、聞き手が話し手の「学習者」となることです。
この感覚を把握することができれば、話し手の言うことを聞き、そこからもっと引き出すことを自然に行えるようになります。
相手に集中するためのポイント
相手に集中するためには、感情的、身体的な練習が必要です。具体的なポイントをいくつかご紹介します。
- 話を聞く前に心を平静にする
- 話し手の声を聞くことを楽しむ
- 話し手からの物語や知識を習得する機会として、認識する
- 話し手の考えに素直に耳を傾け、その内容が正しいか誤っているかを判断せず、話し手にとってはそのことが正しいのだと素直に受け入れる
- 話し手の普段の話し方、トーン、話しの運び方に注意して聞き、その調子が変わる時の様子に注意を払う
- 話し手が何を欲しているのかに耳を傾ける
- 自分の話をしたり、正当化したいという欲求は脇におく
心を平静に保つ能力に加え、上記のポイントを意識することで、話し手が伝えたい言葉や感情を受け入れるための余裕をもつことができます。
相手に集中することができれば、話し手は安心し、思い切った発言をしたり、自分の考えていることを自由に表現するようになります。
結果として学習・創造できる余裕をつくり出すことによって、チームメンバーの生産性や、力をより高めることが可能となるのです。
聞く力を磨くミニワーク
相手に集中しにくいのはなぜかを特定する
話を聞くときに集中しにくいと思うチームメンバーを思い浮かべます。上記のポイントのどれを使えば、その人に集中することができるようになるでしょうか。
集中するためのポイントを試す
ポイントの中からひとつ選んで、少なくとも3人の話し手に対して、毎日それを実行してください。その取り組みを通して得た「聞き手としての成長や学び」を言語化してみましょう。
ロールプレイをする
誰かにパートナーを頼み、集中して聞くためのロールプレイを行います。
パートナーには、自分自身のことについて話してもらいます。その間、あなたはパートナーに集中しようとする意思をもち続けてください。パートナーとの会話で、あなたが話すときには、できるだけ「私は」という言葉を使わないよう注意しましょう。
そして、このロールプレイを通じて学んだことを言語化してみましょう。
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