リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【アクノレッジメント】 第2回 まず相手の「存在」をアクノレッジする
2017年09月21日
リーダーシップミニ講座、シリーズ7のテーマは「アクノレッジメント」です。
第1回 | アクノレッジメント(承認)とは? |
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第2回 | まず相手の「存在」をアクノレッジする |
第3回 | 相手の「成果」「行動」「成長」をアクノレッジする |
第4回 | アクノレッジメントのバリエーションを持つ |
第5回 | アクノレッジメントの文化を築く |
第2回 まず相手の「存在」をアクノレッジする
アクノレッジメント(承認)とは、「まず相手の存在を認め、さらに相手に現れている変化や違い、成長や成果にいち早く気づき、それを言語化して、相手に伝えること」です。
そう聞くと、相手の「変化」や「成長」、「成果」をさっそくアクノレッジしたくなるかもしれませんが、実は冒頭の「まず相手の存在を認め」ることがとても重要です。なぜなら、相手の存在を認めることによって、信頼関係と相手への真の興味がひらかれてこそ、アクノレッジメントが機能するからです。
アクノレッジメントには、大きく分けて次の4つの種類があります。ここではまず、1つ目の「存在」をアクノレッジすることについて理解を深め、実践のための具体的なヒントを見つけていきましょう。
存在承認
行動承認
成果承認
成長承認
職場におけるアクノレッジメント
アクノレッジメントの語源には、「そこにいることに気づいていることを示す」という「存在承認」の意味があります。この「自分の存在は認められている」という感覚は、職場における安心感や信頼関係にもつながり、結果として、行動やチャレンジへの原動力となります。
人類は、互いに協力関係を築きながら生き延びてきました。そのため、人類の生存本能は、絶えず自分が協力の輪に入っているかどうかをチェックしています。それに対し、「YES!」と伝えるのがこのアクノレッジメントなのです。
また、「存在承認」を通して、リーダーは相手に自然と目を向けるため、相手の個性や強みをよりよく理解したり、後に続く「成果」「成長」やにも気づきやすくなります。
では、具体的にどのような関わりが「存在承認」となるのか、その例を挙げてみます。
「存在承認」の関わりリスト
- 挨拶する
- 名前を呼ぶ
- 目を合わせる
- 相手のほうに体を向けて会話する
- こちらから話しかける
- 相手が話したいことを聞く(自分が聞きたいことだけでなく)
- 労う
- 感謝する
- 約束の時間を守る
- ちょっとした変化に気づく(髪を切ったね、新しいスーツだねなど)
- メールや質問にすぐ答える
- 相手が前に言ったことを覚えている
- 意見を求める、相談する
- 仕事を任せる
- 役割を与える
- 相手の得意なことについて教えを請う
一つひとつは大したことではありません。むしろ当たり前のことのように思うかもしれませんが、これを、誰に対しても平等に、継続的に行うのはなかなか難しいものです。しかし、リーダーはチームメンバーの誰に対してもそうする必要があるのです。そして、そのことがアクノレッジメントにおける最も重要なはじめの一歩でもあるのです。
真のアクノレッジメントを実践するためのミニワーク
上記の「存在承認の関わりリスト」の一つひとつについて自身を振り返ってみましょう。
- どのようなことに気づきますか?
- あなたがすでに強みとして持っている関わりはどのようなものでしょうか?
- 今後、強化したい関わりはどのようなものでしょうか?
- 他にどのような関わりを存在承認として実践できるでしょうか?
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