リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【アクノレッジメント】 第5回 アクノレッジメントの文化を築く
2017年10月05日
リーダーシップミニ講座、シリーズ7のテーマは「アクノレッジメント」です。
第1回 | アクノレッジメント(承認)とは? |
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第2回 | まず相手の「存在」をアクノレッジする |
第3回 | 相手の「成果」「行動」「成長」をアクノレッジする |
第4回 | アクノレッジメントのバリエーションを持つ |
第5回 | アクノレッジメントの文化を築く |
第5回 アクノレッジメントの文化を築く
コーチング型リーダーは、「私とあなた」を超えて「私たち」という感覚をつくり出すべく、アクノレッジメントを行います。そのことについて、最後にふれておきます。
個人のみならず、チーム全体に
コーチング型リーダーは、チームにおける個人に対してのみならず、チーム全体に対してもアクノレッジメントを行います。具体的には、たとえば、次のような取り組みがチームへのアクノレッジメントとなります。
チームやメンバーから学んだことを共有する
チームをアクノレッジする方法として有効なのは、チームやチームメンバーから教わったことをチーム全体に共有することです。これは学びの機会であると同時に、チームの影響力を明らかにすることにもなります。これは単に一緒に働くことへの自信を強めるだけでなく、お互いが効果的で、生産的で、有力な、相互学習の関係性を持っている、という信頼関係にもつながります。
潜在的な可能性がある、という感覚を共有する
コーチング型リーダーはチームの中にある潜在的な可能性についてもアクノレッジします。具体的には、現在の強みをアクノレッジし、それがどんな風に発展しうるかについて言及します。未来に向けたアクノレッジメントは、将来的な才能や達成の可能性を認めることであり、あなたがチームを信頼し、チームに期待していることを示します。
一緒にいることを喜ぶ
最もシンプルなアクノレッジメントは、一緒に働いていることの喜びや感謝をチームに伝えることです。関係性と信頼は、必要とされているという感覚と、必要としているという感覚の2つによって成り立ちます。一緒に働く人との関係に対して感謝を表現することで、チームに自信をもたらし、周りの人を巻き込み、チームも個人もさらに発展していきます。
さらには、チームをも超えて
コーチング型リーダーは、チーム内にとどまらず、組織の他のメンバーやチームもアクノレッジしていきます。チームやチームメンバー、そして仲間が成長し、自信と達成感を持って取り組むことができるよう、リーダーは常にアクノレッジメントの機会を探し、まず自身が積極的に伝えます。そして、リーダーのそうした姿勢はやがてメンバーへと伝播し、チーム内、そして組織内にアクノレッジメントを奨励する文化へとつながっていくのです。
メンバー同士のアクノレッジメントも促進する
同時に、リーダーは自ら率先してアクノレッジするとともに、メンバー同士でアクノレッジし合うことも積極的に促していきます。なぜならリーダーは、チームや組織をうまくいかせるには、メンバー同士のコミットメントと貢献が必要であることを認識しているからです。
このようにして、物事を学習しあったり、お互いの成長を促しあったり、常にパフォーマンスを向上させていく仕組みが組織内に構築されることになります。
メンバーの成長促進とチームが機能的に活動する責任は、コーチング型アプローチの真髄であり、その実現自体が、リーダーからチームメンバーに与える最も重要なアクノレッジメントでもあるのです。
真のアクノレッジメントを実践するためのミニワーク
次の質問を通して、チームにアクノレッジメントを根づかせる取り組みをはじめてみませんか。
- メンバーがお互いにアクノレッジすることを奨励するために、具体的に何をしますか?
- メンバーがお互いをアクノレッジしあうモデルとなるために、あなた自身、何をしますか?
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