講演録

株式会社コーチ・エィにおいて行われた講演会の記録です。


次の50年の持続的発展に向けて
株式会社ヨックモックホールディングス 代表取締役 藤縄武士氏

ヨックモック社長が語る:第1回 縮小し続ける市場に対する会社としての課題

ヨックモック社長が語る:第1回  縮小し続ける市場に対する会社としての課題
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株式会社ヨックモックホールディングス代表取締役社長 藤縄武士氏に、ご自身がエグゼクティブ・コーチングを受けた体験について語っていただきました。本シリーズでは、藤縄氏の講演の内容を7回にわたってお届けします。

第1回 縮小し続ける市場に対する会社としての課題
第2回 答えられなかった質問「他の人が社長では、ダメなのですか?」
第3回 つきつけられた現実と、変わる「自分への問いかけ」
第4回 指示するボスではなく、先頭に立つリーダーを目指す
第5回 次々に起こる変化と活性化
第6回 新しい取り組みには「副作用」がある
第7回 もしもコーチがいなかったら

縮小し続ける贈答用菓子の市場

弊社において、コーチングは、現在進行形の取り組みです。本日は、現在進行形でどんな取り組みをしているかということ、また、コーチングのプラスの側面だけではなく、難しさについてもお話しさせていただきたいと思います。

洋菓子業界では、海外で研修を受けて感性や技術を磨いたパティシエの方たちが、街でお菓子屋さんを開き、とてもおいしいお菓子を提供しているなど、お客様がお菓子を買う際の選択肢が以前より増えてきている状況があります。

我々のお菓子は、儀礼ギフト、お中元、お歳暮などの贈答用に一番大きな需要があるのですが、バブル崩壊後、法人の需要が減り、さらには、人口減少というこの国の抱えている問題により、加速度的に儀礼ギフト市場は縮小を続けています。

時折若い方々に、「お中元やお歳暮を、贈っていますか?」と聞くのですが、ほとんどの方が贈っていないと言います。若い人たちが儀礼ギフトを贈る機会が減ってきている中で、どこにお客様を見つけていくのか、そういったことを模索している最中です。

いままで通りやっていれば、問題ないのか?

弊社は、48年間にわたり、「シガール」を基幹商品として販売させていただいており、このロングセラー商品という成功体験が、一人ひとりの社員にDNAとして強く刻み込まれているところがあります。したがって、大きな成長は目の前に見えないものの、社内には「まあ、今まで通りやっていれば、それなりの売り上げがあるはずだ。それなりの業績が上がるはずだ」という雰囲気がなんとなく漂っていました。

このような状況の中、「なんとかしないといけない」と、新しい市場に出て行こうと会社としていろいろな試みをしています。百貨店での2ブランド、3ブランドの展開や、スーパー、コンビニへの展開など、ヨックモックブランドだけに頼らない、いろいろな試みを進めています。コーチングを始める頃は、ちょうど海外にも販路を見出していこうとしていたところでした。

そのほか、組織としては、不均衡な年齢構成という課題を抱えています。バブル崩壊後、不景気が続き、ギフト市場が大きな影響を受けるなか、長い間採用を止めていました。そのため、現在40代の社員の数が多くありません。

そこで、人員構成を正常に戻すために、採用も開始しました。不景気もあって、幸いなことに我々のように非上場の会社でも、たいへん優秀な新入社員に恵まれてきたと思います。

藤縄武士 氏 / 株式会社ヨックモックホールディングス
1971年生まれ。1994年大学卒業後、専門商社に勤務。2005年に株式会社ヨックモックに入社し、製造部、管理本部、営業本部で実績を積み、 海外事業の推進や新規チャネルへの進出、新規ブランド「UN GRAIN」の立ち上げ(2015年)まで、弊社の主要ビジネスを牽引。

新しい取り組みを始めたものの

新しい取組みを進めてはいたものの、前述したように、社員の中には「今まで通りやっていればいい」という感覚が抜けない者もいました。社員は、真面目でいい人が多いのですが、オーナー企業にありがちなトップダウンの指示系統ゆえに、私の眼には、主体性があまりないように見えました。

また、部署間の課題にぶつかった際には、「自分は悪くないが、相手がやってくれない」という意識も見受けられ、そういう状態が続くと、人間関係もだんだん希薄化してくるのではないかと懸念し始めていました。

ただ、そんな中でも危機感をもっている社員からは「会社が向かおうとしている方向がわからない」とか、「会社としてはどうしたいのか」というような質問が多く出ていました。

気もちは焦るが、行動は起こらない

私自身の状態に目を移してみると、「強い会社にしたい、でも、その一手が見えない」という状況でした。

ヨックモックに入社する前は、商社にいたこともあり、自社を商社の目線で見ているようなところがありました。商社では食品を扱っていたのですが、1回に何万トン、何億円といった商売をしていたので、高額商品であっても単価5000円といった商品を地道に売っていかなければならないという自社の仕事が、とても地道に思えたのです。

前述したように過去の成功体験を大切にしすぎる社風の中で、「このぬるま湯体質をどうにかしたい。強い組織、強い会社にしたい。」と思いながら、日々を過ごしていました。そして、社長への就任が近づく中、「どうにかしないといけない」とは思いつつ、打つべき一手は見えない。「何をしたらいいのか」と、ただ思うだけで、日々時間を潰していました。そんなときにコーチングと出会います。



2017年3月2日 株式会社コーチ・エィ主催のセミナーにて

次回に続く

株式会社ヨックモックホールディングス

1969年(株)ヨックモックとして、藤縄則一によって創業。菓子の製造販売を手掛ける。ヨックモックブランドは全国百貨店を中心に、国内では187店舗、海外も合わせると243店舗を展開する。ヨックモックのほか、WA・BI・SA、アンリ・ルルー、UN GRAINなどのブランドを展開。(2017年4月現在)

ヨックモックWebサイト

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