講演録

株式会社コーチ・エィにおいて行われた講演会の記録です。


次の50年の持続的発展に向けて
株式会社ヨックモックホールディングス 代表取締役 藤縄武士氏

ヨックモック社長が語る:第3回 つきつけられた現実と、変わる「自分への問いかけ」

ヨックモック社長が語る:第3回 つきつけられた現実と、変わる「自分への問いかけ」
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株式会社ヨックモックホールディングス代表取締役社長 藤縄武士氏に、ご自身がエグゼクティブ・コーチングを受けた体験について語っていただきました。本シリーズでは、藤縄氏の講演の内容を7回にわたってお届けします。

第1回 縮小し続ける市場に対する会社としての課題
第2回 答えられなかった質問「他の人が社長では、ダメなのですか?」
第3回 つきつけられた現実と、変わる「自分への問いかけ」
第4回 指示するボスではなく、先頭に立つリーダーを目指す
第5回 次々に起こる変化と活性化
第6回 新しい取り組みには「副作用」がある
第7回 もしもコーチがいなかったら

予想とは大きく異なる「現実」に直面

「現実を理解することから始めよう」と決めたところで、コーチから、「社員全員にアンケートをとってみませんか」という提案がありました。そこで、全社員を対象として、現状把握のためのアンケート形式のリサーチを実施することにしました。アンケートの質問項目の一部は、自ら考えたものです。また、自己認識と他者からの見え方のすりあわせを目的として、自分も同じアンケートに回答しました。

その結果は、予想とは大きく異なっており、私は思いきり現実に直面することになりました。

たとえば、

「(藤縄が)どのような行動でリーダーシップを発揮してきたか?」

という項目。

自分としては、「重要性を繰り返し話し、自ら率先して行動することで、周りが『ルールを徹底しなければ』という雰囲気をつくってきた、そういうリーダーシップを発揮してきた」と自負していました。

ところが、社員からの回答はそれとはほど遠いものでした。

「周りに遠慮しすぎて、リーダーシップを強く感じることはない」。

この回答には、もうこてんぱんにやられました。本当にひどいものです(会場笑)。

それから、

「この組織が発展していくために(藤縄に)必要な行動は?」

自分では、「同じ考えや感性をもつ人を多く育てるために、自ら行動し、その結果、組織の至るところで自発的な行動が起こるようにする」と回答したのですが、今から振り返れば、とても自分勝手な答え、ある意味、他人任せの答えだったと思います。社員からしたら、こんな経営者は嫌だと思うのではないでしょうか。

社員からの回答は、

「全社員の頂点に立つことを意識し、自分の求めていることを追求することが必要」。

また、

「外部、内部環境を今以上に把握すること」。

これには、三行半を突きつけられたように感じました。

「やりがい」とは何か?

自分についてのアンケートのほかに、組織の状況を把握するためのアンケートも実施しました。これも全社員が対象です。組織の状況を測る項目ごとに点数をつけてもらうほか、記述式で、部署の強みや課題についても書いてもらいました。社員が本当はどのように考えているかを知り、今後の会社運営の参考にすることが目的でした。

自分ではそれなりにがんばっているつもりでしたが、リサーチの結果から「社員は、私が思っているほど満足はしていない」ということがはっきりとわかりました。

「現実を理解することから始めよう」と決めたものの、自分の想定とはあまりにも異なる「現実」に直面し、自分が今まで目指してきたもの、やってきたことが、崩れ落ちてゆく感覚を体験しました。

そんなとき、コーチからはこんな質問をされました。

「社員が幸せになれる会社、そして、社員のやりがいとはそもそもなんなのでしょうか?」。

「自分への問いかけ」が変わる

それまでは、単にないものねだりをしていただけなのではないだろうか。そもそも、すべてがそろった状態、つまり「理想」の状態を、自分は果たして具体的にイメージしていただろうか、という問いが、頭に浮かびました。

まずは「理想」を明確にイメージしよう、そして、その「理想」に向けて、何をすべきかを考えようと、私自身の発想や思考もだんだん変わっていきました。そして、それに従って、自分への問いかけも変わり始めました。

「自分自身、積極的にその問題に関わっているだろうか?」
「問題がない会社、素晴らしい会社というのは、具体的にはどういう状態だろうか?」
「それを自分は、明確にイメージできているだろうか?」

同時に、それを一緒に実現していく「仲間」である社員へと目を向ける質問も加わりました。

「理想や、目指すイメージを、社員は今、どのくらい理解しているだろうか?」
「社員は現状の問題点を、問題と認識しているだろうか?」
「社員は、私のことをどのくらい知っているだろうか?」

そして、

「もし自分が社員の立場だったら、どう考えるだろうか?」

これは、私に欠落していた視点でした。

それまで私が考えていたのは、「自分のやりたいことは何か」、そして、「人をどうやって動かすか」ということばかりでした。

「相手がどう思っているか」、「こんなことを言われたとき、自分が社員だったら、どういうふうに仕事をしようと思うだろうか」といったことに、初めて意識が向きました。社員の理解と協力なしには、自分の理想を実現することは難しいと気づいたのです。

こうして、新しい問いかけをしながら仕事に取り組み始めることで、いろいろな変化が生まれ始めました。

次回に続く


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