講演録

株式会社コーチ・エィにおいて行われた講演会の記録です。


次の50年の持続的発展に向けて
株式会社ヨックモックホールディングス 代表取締役 藤縄武士氏

ヨックモック社長が語る:第4回 指示するボスではなく、先頭に立つリーダーを目指す

ヨックモック社長が語る:第4回 指示するボスではなく、先頭に立つリーダーを目指す
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株式会社ヨックモックホールディングス代表取締役社長 藤縄武士氏に、ご自身がエグゼクティブ・コーチングを受けた体験について語っていただきました。本シリーズでは、藤縄氏の講演の内容を7回にわたってお届けします。

第1回 縮小し続ける市場に対する会社としての課題
第2回 答えられなかった質問「他の人が社長では、ダメなのですか?」
第3回 つきつけられた現実と、変わる「自分への問いかけ」
第4回 指示するボスではなく、先頭に立つリーダーを目指す
第5回 次々に起こる変化と活性化
第6回 新しい取り組みには「副作用」がある
第7回 もしもコーチがいなかったら

任せることができるようになった

コーチングを受け始めて、何かを始めるときに、まず目的や目標を明確化してから進めるという癖がつきました。それに伴い、ゴールさえ決めたら、そこへ行く手段や方法は現場に任せるという「決め」ができて、権限委譲を進めることができました。もちろん、優秀な社員がいてくれたことが大きいのですが、これまで「私が出ていかないといけない」、「任せてはおけない」という気持ちが大きかったのが、今はどんどん人に任せて仕事をしてもらうという形になっています。

俯瞰して、ゴールを取り巻く「環境」全体を考えるようになったというのは、自分の中に起きた新しい変化だと思っています。

また、「相手の立場になって考える」こともできるようになってきました。少し表現を変えると、「社長として、自分の立場をわきまえる」という風にも言えるかもしれません。

たとえば、私は社員の横に座って雑談するのが好きなのですが、そんな時にたまたま置いてあった新商品について、「この色は、ちょっと変えた方がいいね」などとうっかり言ってしまうと、実際に変わってしまうということがあります。しかし、その色や形に決まるまでには、それなりにいろいろな経緯があったわけです。それを覆すようなことを、社長である私が「思いつき」で言ってはいけないと思うようになりました。

最近は、社員から提案があり、「それは絶対無理だろう」と思うときでも、それを伝える前に、どう考えてその提案に至ったかという背景を聞くようにしています。

「ボス」ではなく、「リーダー」としての社長

また、私の中での最も重要な変化のひとつが、「成長には副作用が伴う」と割り切れたことです。

何をするにしても、全てをうまくいかせながら、前に進むことはできません。「これまでと違うことをすれば、何らかの問題が出る」と割り切ると、その副作用をどれくらい小さくするかという視点に変わります。この割り切りができるようになり、物事を決め、実行するスピードがぐっと上がりました。

そして、もうひとつが、「社長としての役割観」の変化です。

これまでは、「社長になる」というのは、「ボスになる」ことだと思っていました。たとえるなら、馬車があって、それに乗る人と引っ張る人たちがいるとき、「ボス」というのは、馬車に乗って「あっちに行け、こっちに行け」と指示を出す人というイメージです。

しかし、次第に「それは本当に自分のすべきことだろうか」と思うようになり、馬車に乗るのではなく、それを引っ張る人たちの先頭に立って方向を決める、「リーダー」でありたいと思っていることに気づきました。そして、「ボス」ではなく、「リーダー」として社長になろうと決心しました。

弱みを知ることは、変化へのきっかけになる

コーチングを受ける過程で、その後も何回かアンケート型のリサーチを実施しています。目的は社員からのフィードバックを得ること、そして、彼らの目を通した変化を把握することです。

アンケートの項目で、特に自分の糧になっていると感じるのは、リーダーとしての「弱み」について記述してもらった回答です。

たとえば、「『社員が上げたものだから』と承認している。そうではなく、納得しないものにはきちんとNOと言ってほしい」というコメント。

一瞬どきっとしましたが、こういうことが聞けると、「では、今後はどうするのか」という次の選択と行動につながっていきます。

他には、「興味の濃淡が見てとれる時がある」、「思い描いていない方向に振れると、声・表情に感情が出やすく、周囲が萎縮する」というコメント。

正直なところ、「『人間』なんだから、しょうがない」とも思いましたし、逆に、そうした反応が伝わることに、いい面もあるとも思いました。ただ、もしそれが「萎縮」という「負」のかたちで働いているのであれば、対策を考えるべきです。「周りを萎縮させないようにするには、具体的にどうしたらいいか」を考え、行動するようになりました。

また、「情報発信はしているが、短期的な視点が多い」、「的確に伝えるための体系が必要」というようなコメントをもらったことで、情報発信の仕方を振り返り、現在のスタイルへとつなげることができています。

社員の目から見ても変わっていった

そのほかに、リサーチにおいては、変化に関するフィードバックももらいました。

例えば、「自分の想いを話すようになった」というコメント。

コーチングを始めて、まず私が大きく変わったのは、自分のことを社員にさらけ出すようになったことではないかと思います。そのことが、この言葉につながったのかもしれません。

また、「以前は『なんとなく』という感じだったが、ほめることやアクノレッジが明確になった」、「ほめる理由が明確になった」というようなコメントが寄せられました。

実は、私は「人をほめる」ことが、ずっと苦手でした。

しかし、コーチングを通して、「人に認められることは、やはりモチベーションになる」ということを実感しました。一つひとつ、言葉にして伝えることの重要性に改めて気づき、ちょっとしたことであっても、「ありがとう」、「すごいね」、「こんなことができたんだね」といったように言葉で表現しようと努力しているところだったので、社員からのこうしたコメントをとてもありがたく思いました。

他にも、「話を聞いてくれるようになったので、現場の話が通じるようになった」など、次第に、社員からもポジティブなフィードバックが出てくるようになりました。

続く


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