リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【コーチング型フィードバック】 第2回 目標達成に向ける
2017年06月13日
リーダーシップミニ講座、シリーズ5のテーマは「フィードバック」です。
第1回 | フィードバックは、目標達成に向けた成長のためのコミュニケーション |
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第2回 | 目標達成に向ける |
第3回 | 率直に、正直に、相手に敬意を示す |
第4回 | 事実に基づいて伝える |
第5回 | 相手の成長に向けて建設的に伝える |
第6回 | フィードバックプロセスに受け手も参加させる |
第7回 | 自分自身もフィードバックを受ける |
第2回 受け手の目標達成に向けて行う
効果的なフィードバックをするために大切なのは、フィードバックする相手がどこに向かっているのか、その「行き先」つまり「目標」を共有していることです。目標の共有が欠如していると、フィードバックがフィードバックではなく「批判」や「評価」、ときに「攻撃」や「遠回しな忠告」として受け取られる可能性が高くなります。
フィードバックは目標に向けての軌道修正の材料
「フィードバック」とは、もともと、電気工学的に「出力(結果)の一部を入力(原因)側に返還すること」を意味しています。これによって、次の出力を調整することが可能になります。たとえば、エアコンのサーモスタットは、設定した温度を超えると温度を下げるよう指令を発し、逆に下がりすぎると上げるように指令を出します。また、航空機は、さまざまに変化する外部環境からのフィードバックを元にした自動制御システムによって、目的地までたどり着くことができます。
航空機がフィードバックによって、絶えず軌道修正しながら目的地にたどり着くように、コミュニケーションにおける「フィードバック」も、「目的」に向けて、確認・調整・軌道修正をするためには欠かせない情報です。
フィードバックがないと、次のようなことが起こる可能性が高くなります。
- 目的地に向けての方向性を見失う
- 目的地まで遠回りしてしまう
- 目指していた場所とは、違うところに行き着いてしまう
フィードバックするときにまず必要なこと
フィードバックとは、フィードバックを受ける側が「現在の状況」を明確に把握し、「目標達成」に向けて、「軌道修正」するために必要な情報です。つまり、目標に向けて行うものであり、目標のないフィードバックは、フィードバックとはいえません。
フィードバックを目標達成のサポートとして活かすためには、次の2点がクリアされていることが大切です。
1.フィードバックを伝える人は、相手がどのような目標をもっているか知っている
フィードバックは、「目標」に向けて行われるものです。相手の目標と無関係なところで、一方的に伝えたとしても機能しません。それらは、「おせっかい」「大きなお世話」になってしまいます。
2.フィードバックを受ける側が、目標達成のためにフィードバックを求めている
フィードバックするときには、「フィードバックしていいか」、あるいは少なくとも「その必要性を感じているか」を相手に確認してから伝えます。なぜならフィードバックは、受け取る側が自ら求めるときに、最も効果的なものになるからです。伝えるときには、どの目標についてのフィードバックかを明らかにして伝えることも大切です。
効果的なフィードバックをするためのミニワーク
あなたは部下やメンバーの「目標」をどのくらい理解していますか?
まずは、相手がどのような目標に向けて日々を過ごしているのか、理解、把握することから始めましょう。相手の「目標」を理解し、共有することが、効果的なフィードバックの土壌となります。
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