リーダーシップミニ講座

リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。


【コーチング型フィードバック】 第4回 事実に基づいて伝える

【コーチング型フィードバック】 第4回 事実に基づいて伝える
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リーダーシップミニ講座、シリーズ5のテーマは「フィードバック」です。

第1回 フィードバックは、目標達成に向けた成長のためのコミュニケーション
第2回 目標達成に向ける
第3回 率直に、正直に、相手に敬意を示す
第4回 事実に基づいて伝える
第5回 相手の成長に向けて建設的に伝える
第6回 フィードバックプロセスに受け手も参加させる
第7回 自分自身もフィードバックを受ける

第4回 事実に基づいて伝える

フィードバックは、相手にとって受け取りやすいもの、理解しやすいもの、次の会話(や行動)に発展できるものである必要があります。そのために、フィードバックは「事実」に基づいて伝える必要があります。感情や感想を介在させないことが大事です。

感情や感想は、人によって異なります。私たちは一人ひとり、異なる学習の仕方や情報の取り入れ方をしていますし、異なる優先順位や価値観をもっています。また、感情の処理の方法も異なります。なぜなら、人はそれぞれ違った解釈、感情、考え方をもっているからです。ゆえに、伝え手の感情や感想が介在したフィードバックは、受け取りにくいものになります。

一方、十分に観察することによって得られた「事実」をもとに、正確な言葉を選んでフィードバックをすれば、解釈の違いに影響されることはありません。客観的かつ記述的に行われるフィードバックには、個人の判断や評価は介在しないからです。

事実に基づくフィードバック VS 感情・感想が介在するフィードバック

事実に基づくフィードバックと感情・感想が介在するフィードバックを比較すると、次のようになります。

事実に基づくフィードバック 感情・感想に基づくフィードバック
レポートの提出期限は水曜日でした 一体どうして締切を守れないんだ
君は3回この会議に遅刻しているね 君はもう3回も会議に遅刻しているね
普通、会議には遅刻しないものだということは知ってるよね
プレゼン資料の枚数が54枚あるね このプレゼン資料は普通の人間が理解できる限界をはるかに超える情報量だ

感情・感想に基づくフィードバックは、たいていの場合、「いい/悪い」といった評価に基づくものになります。例に挙げたようなフィードバックは、受け手に「あなたは間違っている」「あなたは改善すべきだ」というメッセージが伝わります。こうしたフィードバックを受けると、受け手は自分を守るために言い訳を考え始めます。

それに対して、事実に基づくフィードバックは「事実」なので、本人にとって受け取りやすい情報となります。「事実」が確認できれば、その「事実」が、フィードバックの送り手や受け手にどのようなインパクトを与えているのか、チームや周りの人たちにどのような影響を及ぼしているかなど、さまざまな視点から話し合うことができます。

「事実」を扱うことがもたらす効果

「事実」を扱えば、次の3つのことが自然に起こります。

  1. 「事実」を伝えるため、伝える側と受ける側は対等な状態でいられる
  2. 「事実」に基づいた状況を客観的に分析できるので、感情的になりにくい
  3. お互い話がしやすくなり、具体的な行動が起こりやすい

効果的なフィードバックをするためのミニワーク

過去事例から学ぶ

最近あなたが誰かにしたフィードバックを振り返ってください。

相手の行動や行為のどのような「事実」に基づいて行いましたか? 

「事実」に基づくフィードバックをするために、さらに何を強化する必要がありますか?


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