リーダーシップとは、リーダーという立場にある人だけに必要なものではありません。どんな役割、立場にある人にも、リーダーシップが求められます。優れたリーダーは、周囲とどのように関わり、どのように物事を推進しているのか。ワークに取り組みながら、コーチング型リーダーのコミュニケーションについて学ぶためのミニ講座です。
【コーチング型フィードバック】 第3回 率直に、正直に、相手に敬意を示す
2017年06月23日
リーダーシップミニ講座、シリーズ5のテーマは「フィードバック」です。
第1回 | フィードバックは、目標達成に向けた成長のためのコミュニケーション |
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第2回 | 目標達成に向ける |
第3回 | 率直に、正直に、相手に敬意を示す |
第4回 | 事実に基づいて伝える |
第5回 | 相手の成長に向けて建設的に伝える |
第6回 | フィードバックプロセスに受け手も参加させる |
第7回 | 自分自身もフィードバックを受ける |
第3回 率直に、正直に、相手に敬意を示す
コミュニケーションは関係性次第
職場におけるコミュニケーションの問題は、コミュニケーションを交わす双方のあいだに関係が築かれていないときに起こります。信頼関係は、「あなた」や「私たち」という視点をもたらします。お互いのあいだに信頼が欠けると、「私」という視点だけでものを考え、行動することになります。
そういう場合は、コミュニケーションにおいても「話し手」の意図だけが重要課題となり、「受け手」が考えることや感じることは、二の次になります。たとえコミュニケーションをたくさん交わしたとしても、信頼性や率直さ、尊敬、正直さが欠けていれば、関係性は弱体化していきます。
コーチング型アプローチでは、相手の学習促進や相手の成長・成功に向けて、信頼性、率直さ、尊敬、正直さをもってコミュニケーションを交わすことを常に大切にします。そうすることで、信頼関係が築かれ、相手も積極的にコミュニケーションに参加するようになり、交わされるコミュニケーションは、さらに効果的で強固なものになるのです。
フィードバックをするときも、大切なのは「率直に」「正直に」「相手の敬意を示す」ことです。
機能するフィードバック、機能しないフィードバックは何が違うのか?
ここで、フィードバックを受ける側の視点に立って考えてみます。
フィードバックを受けて、自信を失ったり、危機感を覚えたりした経験がある人もいるかもしれません。フィードバックの受け手は、いわば、受身な立場にいます。これから受け取るフィードバックが肯定的なものなのか、否定的なものなのか、また、勇気づけとなるのか、攻撃として使われるのか、見当もつきません。フィードバックする側は、まずそのことに配慮を示す必要があります。
受け手のニーズを考慮し、受け手の貢献に対して尊敬の念をもって行われるフィードバックは、たとえ厳しい内容であっても受け取りやすくなります。受け手、送り手の両者にとって有益な体験が共有されると、フィードバックがしやすい関係が築かれます。
相手を尊重し、敬意をもって、率直に、正直にフィードバックが提供されれば、お互いに話しやすくなり、情報を自ら提供したり、互いに肯定的に関わったりすることができるようになります。成熟した関係に基づいた会話が促進されれば、具体的な行動にもつながりやすくなります。さらには、個人、チーム、そして組織を成長させるプロセスへと発展します。
効果的なフィードバックのためには、あなたがどんな基準でフィードバックするかを明確にすることです。自分への問いかけを通して、あなたの基準をまず確認するところから始めましょう。
効果的なフィードバックをするためのミニワーク
次の問いかけに答えながら、あなたが強化すべきポイントを明確にしましょう。
何のためにフィードバックするのか?
フィードバックは目標達成に向けて行います。問題指摘や攻撃手段ではありません。
相手を尊重しているか?
それを具体的にどのように相手に伝えますか?
信頼や関係性はどうか?
信頼関係をより強くするために普段からできることは?
正直に、率直に伝えられるか?
具体的にどのような態度、話し方、向き合い方をしますか?
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