コーチングの基本

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【解説】「1on1」とは?面談ですぐに使える7つのポイント!

【解説】「1on1」とは?面談ですぐに使える7つのポイント!
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今、企業で注目され、続々と導入されている「1on1」。

しかし、いざ始めるとなると、

  • これまでの「評価面談」や「普段の会話」とは何が違うのか?
  • どんな風にすると効果的なのか?
  • そもそも、具体的にどうやって行うのか?

そんな戸惑いを持つリーダーも多いのでは。

そこで、今回は「1on1」をスムーズに実施するためコミュニケーションポイントを7つ、お届けしたいと思います。

具体的なポイントをご紹介する前に、まずは、次の点について確認しておきましょう。

「1on1」は、これまでの面談・やりとりと何が違うのか?

部下との1on1、つまり1対1で話す機会としてなじみがあるのは、おそらく次の2つではないでしょうか。

  • 年に数回の評価面談
  • 日々の打ち合わせや業務相談

では、最近注目されている「1on1」はこれらとは何が違うのか、まずはそこから整理をしていきましょう。

一概には言えませんが、大まかに整理すると次のようになります。

評価面談 1on1 日々の業務相談
頻度 年に数回 比較的ひんぱんに
定期的に(週1回等)
必要に応じて、随時
目的 評価・目標管理 能力開発・目標達成
関係づくり・相互理解
進捗管理・問題解決
内容 上司が伝えたいこと中心
上司→部下
部下が話したいこと中心
上司⇄部下
それぞれが伝えたいこと、確認したいこと中心
上司→部下 or 部下→上司

頻度、目的、そして内容において、上司と部下の間でこれまで行われてきたコミュニケーションと「1on1」には違いがあります。ですから、上司ー部下間の従来のコミュニケーションをそのまま「1on1」に反映することはできず、新しいアプローチが必要となります。

では、具体的にどんなアプローチが有効なのか、について、早速紹介していきましょう。

ポイント1:「相手のための時間」にする!

評価や目標管理の面談、そして、日々の業務相談は基本的に、

  • 仕事をうまくいかせるため
  • 上司側が必要なことを確認・指導するため

に行われることが多くなります。

それに対して、「1on1」は「相手(部下)のため」の時間です。

具体的には、以下の機会として提供されます。

  • 部下自身の成長やビジョンについての思考や実践をサポートするため
  • 業務の渦中からちょっと離れて、俯瞰したり、新しいことを考えたりするため

「部下のための時間をとる」。

そのこと自体が部下にとって大きな勇気づけとなり、支援となります。

ですから、まずはそのための時間を確保することだけも「1on1」として十分に機能します。

ただ、そのとき、気をつけなくていけないことがあります。

それは、「相手のための時間」として始めたものの、いつの間にかついつい、いつもの指導や確認モードになってしまうということです。ここに「1on1」のつまづきの原因の1つがあります。

そこで重要なのが、コミュニケーションのイメージを切り替えるということです。

コミュニケーションのイメージをもって始める

イラストレーション 若松織男

これは、「1on1」の具体的な手法としても注目されるコーチングのイメージを絵にしたものです。

ふだん、誰かと1対1で向き合うとき、私たちが持ちがちなのは、膝を付き合わせる対面式のイメージ。

これは、特に上司と部下のような関係においては、上司が真剣になればなるほど、緊張感を生み出す関係となりがちです。そして時に、「対立」構造をも生み出してしまいます。

一方、上記の絵はこんなイメージです。

同じキャンバスに向かって、並んで座り、相手のテーマ(目標や成長など)について、一緒に描いていく。

何かを教えたり、アドバイスしたり、指摘するのではなく、共に未来やアイディアを描いていく。

いわば、「共同創作者」として相手に関わるのです。

イメージの力は思いのほか大きなものです。明確なイメージを持つことで、不思議と、思考や行動、表情さえもそのイメージ通りのものとなっていきます。

ですから、まずは上記の絵をイメージしてから、「1on1」に臨むことをお勧めします。

プチポイント!

相手(部下)とも、この図と「1on1」のイメージを共有してから始めよう!

上司側がどんなにうまく切り替えても、部下がいつものモードのままではうまくいきません。なぜなら、コミュニケーションは共同作業だからです。そこで、先ほど紹介した「1on1」の目的やこの絵を部下にも共有することで、同じイメージを持って「1on1」の時間をつくっていくことができます。

ポイント2:「聞く」時間の比率を変える!

上司と部下が向き合うとき、たいていの場合多く話しているのは上司です。

一方、「1on1」では、部下の方が多く話す、が理想的です。

なぜなら、聞かれること(=話すこと)には次のような効果があるからです。

  • 「話を聞いてもらえる」=大切な存在として扱われているという安心感・自信につながる
  • そうした安心感が自由な発想やモチベーションを生む
  • 言葉にして相手に伝える過程で、自分でも理解が増す

ですから、「1on1」ではまず、聞く比率を増やすことが必要なのですが、ここにも気をつけるポイントがあります。

それは、「相手のための聞き方」をすることです。

相手のための聞き方

私たちはふだん、自分が聞きたいこと(確認したいこと、聞きたいこと)を軸に相手の話を聞いています。これは「自分のための聞き方」です。

一方、「1on1」で必要な「相手のための聞き方」とは、相手(話し手)が「十分に話せた」と思える聞き方です。

たとえば、次のような聞き方がそれにあたります。

  • 相手の話をさえぎらずに最後まで聞く
  • 自分が次に話すことを考えないで聞く
  • 相手を尊重する(自分の考えは脇に置く。「でも」「私だったら」が頭に浮かんだら注意!)
  • 判断しない(いい/悪い、自分と同じ/違うなど)
  • 自分が相手の話を理解しているかどうかをときどき確認する
  • わからないとき、理解できないときは正直にそう伝え、もう一度話してもらう

まずは、相手がじっくり、安心して、話したいことを話せるように「聞く」ことを意識してみてください。

膨大な情報量の中、日々忙しく働く部下にとって、話すことを通して整理することができる時間は、大きなサポートとなるはずです。

プチポイント!

「沈黙」を活用しよう!

「聞く」ことに注力するとどうしても生じるのが「沈黙」です。

私たちはついつい「沈黙」を埋めようと話してしまいますが、いつもなら話し始めるタイミングで、あと数秒だけ待ってみましょう。沈黙は、実は「考える時間」であり、待つことで、相手がふと話し出すことがあります。相手に不安を与えない、そして沈黙による気まずさを払拭するためには一言伝えるといいでしょう。「ゆっくり考えて。待っているから」と。

「聞く」を磨きたい人におススメなのはこちら

ポイント3:「質問」の種類を変える!

私たちは多くの場合、「自分の知りたい情報を手に入れるため」に質問をしています。たとえば、

  • 部下に仕事の進捗具合を質問する
  • 顧客に要望について質問する
  • 上司に確認のための質問をする

これらはどれも、「聞き手」が「知らない」、もしくは「知りたいこと」を聞くことが目的です。もちろん、これも質問の重要な役割の1つですが、質問にはもっと可能性があります。

相手のための質問をする

たとえば、相手の能力や可能性を引き出すのがうまい、コーチ力に優れたリーダーは、「相手」に「考えさせるため」の質問をします。

そうした質問は、本人さえ気づいていない、その人の中に眠っている可能性や価値ある情報を引き出し、自発的な行動を加速させます。

そのような質問を、豊富に、そして適切につくるには、さまざまなスキルを身につける必要があります。

しかし、最初の一歩は、

「何のために、誰のために、質問をするのか」、

を意識すること。

それを意識するだけで、まず聞き方が変わり、浮かぶ質問も変わってきます。

「相手の成長や成功のため」という目的を意識して、相手の話をよく聞くことから始めてみましょう。

プチポイント!

オープン・クエスチョンを増やしてみよう!!

質問には「クローズド・クエスチョン(YES/NOで答える質問)」と「オープン・クエスチョン(WHO、WHAT、WHERE、WHEN、WHY および HOWから始まる質問)」があります。YES/NOを迫るクローズド・クエスチョンに比べ、オープン・クエスチョンは、可能性の探究をもたらし、創造的に考えることを可能にします。ですから、「1on1」の中では、オープン・クエスチョンを増やしてみる、というのはとても有効な取り組みとなります。

そんな「オープン・クエスチョン」の例はこちら

ポイント4:「アクノレッジメント」でプロセス・成長にも目を向ける!

スピードと確実性を求めるふだんの業務では、どうしても、成果や成果に向けての不足(できていないこと、すべきこと)に目を向けがち。すると部下との会話もそれが中心になりがちです。

一方、人は自分のやったことを通して、自分自身の成長や変化を知ることに喜びを覚え、そのこと自体に達成感を持ちます。この「自己成長感」が、人のやる気や自発性を強く促すエネルギー源となり、人は結果だけではなくプロセスにも価値を置くことに着目していきます。そして、仕事自体を楽しむようになります。

そこで、「1on1」にぜひ取り入れて欲しいのが「アクノレッジメント(承認)」です。

アクノレッジメントで成長・プロセスを大切に扱う

相手をよく観察して、もしかしたら本人さえも気がついていない言動や行動に「それだよ!」と伝える。それが最も効果的な「声のかけ方」のひとつです。

これを「アクノレッジメント(承認)」といいます。「アクノレッジメント」の定義をより正確に言うと、「相手に現れている違いや変化、成長や成果にいち早く気づき、それを言語化して、相手にはっきりと伝えること」です。

私たちはよく「ほら、またやった!」と言わんばかりに、失敗の方を観察しては、それを注意してしまい、本人も、その周囲の人たちも萎縮させてしまいます。しかし、この「アクノレッジメント」では、うまくいっていること、これからうまくいきそうなことを相手がやったとき、そのことを指摘します。

ほめるのではなく、事実を事実として伝えます。賞賛は評価ですが、「アクノレッジメント」は、方向づけです。「ここまで来たね」という到達点と未来を示すものです。

プチポイント!

ふだんから「成長」・「変化」に目を向ける

「1on1」の時間だけで、いきなり「成長」や「変化」について話すのは難しいもの。そこで、有効なのが、ふだんから成長ポイント(つまりアクノレッジポイント)に目を向けて観察しておくことです。それは、「1on1」で話す格好のテーマになります。

また、「1on1」の時間まで待たずとも、次の「1on1」までの期間にアクノレッジメントを伝えることは、大きな支援となります。

さらに承認力を磨きたい方にオススメ!

ポイント5:「継続」するための仕組みを持つ!

たった1回で何かすごい変化が起きる、というのは幻想にすぎません。

「1on1」を続け、そのテーマについて共に考え続けることで、変化や発見が明確になってきます。

そこで必要なのが、「継続する」ための仕組み。そして、「継続したくなる」関わりです。

そのためには、次に紹介するような小さな積み重ねが想像以上に大切になってきます。

「1on1」の終わりには、必ず「次」の約束をする

当たり前のようで、意外に忘れられているのが、次の約束です。

次までに何に取り組むのか、そして、次はいつ話すのか。これが曖昧だと、いつの間にか、「1on1」は自然消滅してしまいます。

「1on1」の終わりには、必ず

  • 次までに何に取り組むのか
  • 次はいつ話すのか(必要があれば次の「1on1」の間のフォローの仕方)

をともに確認するようにしましょう。

途中の声がけを。可能なら「3分間コーチ」を行う

「1on1」で、アクションプランや取り組むテーマを決めても、また、それがいかに「やるぞ!」と意欲にあふれたものであっても、業務の忙しさの中に戻ればついつい意識が薄れたり、また、思いもよらなかった障害や課題にぶち当たり、失速してしまうことがあります。

そこで、重要なのが、次の「1on1」までの間の声がけです。

「その後、どう?」と途中で声をかけることで、リマインドすることができます。また、うまくいったことをタイムリーにともに喜んだり、うまくいかないことについて改めてともに考えることができます。

プチポイント!

〈3分間コーチ〉=短く関わる時間も活用しよう!

とはいえ、忙しい中でのフォローは実際にはなかなか大変です。そこで参考になるのが「3分間コーチ」の考え方です。「3分間コーチ」は、1回に3分くらい、日々の業務の延長線上でコーチとして部下と話す、というものです。コーチする側にもされる側にも負荷をかけずに、効果を上げる方法として考案されています。ぜひ参考にしてみてください。

ポイント6:ティーチング、アドバイスは控えめに!

相手の役に立ちたい、相手をうまくいかせたいと思う上司、そして経験豊富な上司ほど、ついついやりたくなるのが、ティーチングやアドバイスです。

もちろん、ティーチングやアドバイスには、効果・メリットもあります。

一方で、相手を受け身にしてしまう、上司側のスタイルや考えの押しつけになる場合もある(人が一人ひとり違う以上、相手にとってもそれが有効かはわからない)など、注意すべき点もあります。

ですから、「1on1」では「ティーチング」や「アドバイス」を手放してみることで、次のような可能性を期待できます。

  • 部下の「考える」力を育てることができる
  • 部下らしい、部下にあった方法を見つけられる

そのために有効なのが、「聞く」こと、そして「質問」することです。

よく聞き、相手と共に探求するための「質問」をする

たとえば、こんな質問が有効です。

新しい業務や失敗に際して、指示・アドバイスをする代わりに

「今回のことから学んだことは?」
「次はどんなことに気をつける?」

共に探求するモードで

「このあと、どうするといいだろう?」

自分の体験やアドバイスする代わりに

「これまでの経験で、今、活かせることは?」
「君の一番の成功体験は?」
「そこから今回に活かせることは?」

プチポイント!

どうしても、というときは...

もちろん、場合によっては、「ティーチング」「アドバイス」「指示」が必要なこともあります。

そのときは、

  • 「1on1」の途中なら「ここで少しティーチングの時間を持ちたい」と伝える、「1on1」の後でその時間をとるなど、「1on1」の時間とは区別する。
  • 「提案してもいいかな?」「参考に、私の経験を伝えたいけどいいかな?」というように、相手に許可をとる。

このように対応することで、「1on1」と「ティーチング・アドバイス・指示」を混同することなく、それぞれの関わりを活かすことができます。

ポイント7:同意・共有してから始める!終わる!

大切なのに、案外忘れがちなのが、「同意」のプロセスです。

「わかったつもり」「共有しているつもり」

その溝は、関係性構築やコミュニケーションに大きく影響します。

次の「同意」のプロセスを持つことで、共に同じ方向を目指して進むことができます。

まずは「1on1」の目的について共有しよう

繰り返しになりますが、ポイント1でも紹介した通り、「1on1」を始める前には、

  • 「1on1」の目的
  • 「1on1」におけるコミュニケーションのイメージ

を共有してから始めるようにしましょう。

そうしないと、相手はふだん通り、指示待ちやアドバイス待ちの状態のままだったり、いつもと違う上司のアプローチに居心地の悪さや警戒心を抱くこともあります。

それを避けるためにも、この同意・共有のプロセスが重要です。慣れるまでは、毎回始める前に、これらのことを短く共有してから始めてもいいかもしれません。

毎回の「1on1」も「今日のゴール共有」から!

「1on1」のつまづきの1つに、「ただの雑談となってしまう」ことが挙げられます。

ですから、毎回、

  • 今日はどんなテーマについて話したいのか
  • 話すことでどんな効果を上げたいのか

を話し合い、共通のゴールを持って始めると有効です。

たとえば、こんな質問から始めるといいでしょう。

「今日はどんなテーマについて話したい?」
「今、あなたにとって最も重要なテーマは?」
「今日の30分でどんなことを明確に(発見)したい?」
「30分後、どういう状態(成果)を手にしたい?」

何に取り組むか、次回いつ話すかを決めてから終わる

同様に、終わる前には、次のような質問を通して、今日のまとめ、そして次のステップを共に決めることが重要です。

そうすることで、部下は具体的に取り組みを継続することができ、上司も効果的にサポートすることができます。

「今日、話してみてどうだった?」
「次までにどんなことに取り組む?」
「途中、何か必要なサポートはある?」
「次の約束をしよう(確認しよう)」

まとめ

さて、いかがでしたか?

「1on1」は共につくる時間。

上司側が意気込みすぎたり、準備を完璧にしすぎると、緊張や不自由さが生まれ、かえって逆効果になることもあります。

「自分のために時間を取ってくれている」。

部下にとっては、そのこと自体が大きな勇気づけとなります。

ですからあまり気負わずに、まずは、ポイント1で紹介した絵のいめ「部下のための時間」を定期的に持つことからはじめてみてください。

自分の仕事や自分について、安心して自由に話せる時間がある。そして、それを100%味方になって聞いてくれる相手がいる。

それだけで、部下にとっては十分すぎるほどのサポートになるのですから。


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