さまざまな分野においてプロフェッショナルとして活躍する方たちに Hello, Coaching! 編集部がインタビューしました。
ボストン・レッドソックス スカウト 嘉数駿 氏
第4章 スカウトの仕事
2017年06月22日
※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。
ハーバード大学を卒業後、野球の世界に飛び込み、現在はボストン・レッドソックスのスカウトとして活躍する嘉数駿(かかず しゅん)氏。野球チームのスカウトとは、いったいどんな仕事なのか? 嘉数さんが野球の世界に飛び込んだ経緯から、今後のビジョンまで、お話をうかがいました。
第1章 | 『マネー・ボール』との出会いが人生を変えた |
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第2章 | 1年半にわたる就職活動 |
第3章 | 野球の世界で働き始める |
第4章 | スカウトの仕事 |
第5章 | 誰でもスカウトになれる? |
第6章 | 優れたスカウトに求められる3つの能力 |
第7章 | スカウトは何で評価されるのか? |
第8章 | 日本のスカウト、アメリカのスカウト |
第9章 | もっと多くの人に野球を楽しんでもらいたい |
※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。
第4章 スカウトの仕事
選手の獲得を担うスカウトの仕事。強いチームをつくるためには欠かせない役割です。一球団あたり、何人くらいのスカウトを抱えているものなのでしょうか。
今度はスカウトについてお聞きしていきたいと思います。ひとつのチームには、平均して、何人ぐらいスカウトがいるのでしょう。
嘉数 日本だと、「アマチュアスカウト」、つまり、高校や大学、社会人の選手を観るスカウト、ドラフトで選手を獲得するためのスカウトが平均7,8人だと思います。それとは別に「プロスカウト」といって、トレードやFAなどで違う球団から選手をとってくるために動いている人たちが1、2人います。さらに「国際スカウト」という、アメリカや韓国など、日本以外の国から選手をとってくる人たちも1,2名います。全部合わせて12名前後ですね
スカウトにも種類があるわけですね。アメリカだと何人くらい?
嘉数 アメリカは各球団、上記3つのスカウトを全部合わせて、50人くらいいます。「アマチュアスカウト」だけで30名くらいいますね。アメリカは広いので、全土をカバーするだけでもそのくらいの人数が必要なんです。「プロスカウト」は7、8名、そのほか、僕のような「国際スカウト」が世界中に配置されています。ドミニカ、ベネズエラなどの中南米、日本、韓国や台湾それからヨーロッパに置いているチームもあって、全部で10名くらいでしょうか。
メジャーリーグの国際スカウトの場合、各国に一人ずつ配置されているものなのですか?
嘉数 だいたい1人ずつですが、ドミニカとかベネズエラには、もっと人数を置いています。ドミニカだと、1チームだけで5人置いているチームもあります。日本は、多くて1名、2名ですね。日本には駐在スカウトを置いてないというチームもあります。チームの方針として、選手獲得市場として、どれだけ日本やアジアを重視してるかどうかによります。
スカウトの仕事の具体的な内容はどのようなものなのでしょうか。
嘉数 会社で言うところの「人事採用」だと思います。試合を観に行って、その選手の能力の評価をするというのが大きな仕事ですが、能力だけではなくて、自分たちのチームにその選手が合うか合わないかということも調べて、評価します。プレイヤーとしてだけではなく、人間的なところも観るわけです。たとえば、ある球団が高校生をスカウトするとき、「この子は、お金をいきなり与えられたり、大きな注目を浴びたりといった環境の変化に、どう対応できるのか」といった観点でも人物を調べます。
僕が今やっているメジャーリーグ球団のスカウトでいえば、選手は日本からアメリカという外国に移って仕事をするわけですから、「環境の変化に対応できるか」というのは大事なポイントです。そこはとても人間的な部分で、正解がないんです。ベテランのスカウトでも、やっぱり間違うことがあります。「この選手は絶対間違いない」と思ってもダメだったりするので、その辺は本当に難しいところです。選手としての能力だけではないので、必ずしも元プロ野球選手でなくても、スカウトの仕事は可能です。野球選手の能力というグランド上でのパフォーマンスに関しての評価であれば、元プロ野球選手のほうがもちろん有利ですが、それ以外のところもスカウティングでは重要な要素です。だからこそ、元プロ野球選手でなくても、活躍できる仕事だと思います。
野球の能力以外の人間的な部分を観るということですが、球団ごとに求めるものが違ったりするのでしょうか。
嘉数 もちろん球団ごとにカラーがあります。選手の能力以外のところも、ある程度項目を作っている球団もありますし、そうではない球団もあります。
(次章に続く)
聞き手・撮影: Hello Coaching!編集部
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