プロフェッショナルに聞く

さまざまな分野においてプロフェッショナルとして活躍する方たちに Hello, Coaching! 編集部がインタビューしました。


野球経験ゼロから名門レッドソックスの日本人スカウトへ
ボストン・レッドソックス スカウト 嘉数駿 氏

第6章 優れたスカウトに求められる3つの能力

※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。

第6章 優れたスカウトに求められる3つの能力
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ハーバード大学を卒業後、野球の世界に飛び込み、現在はボストン・レッドソックスのスカウトとして活躍する嘉数駿(かかず しゅん)氏。野球チームのスカウトとは、いったいどんな仕事なのか? 嘉数さんが野球の世界に飛び込んだ経緯から、今後のビジョンまで、お話をうかがいました。

第1章 『マネー・ボール』との出会いが人生を変えた
第2章 1年半にわたる就職活動
第3章 野球の世界で働き始める
第4章 スカウトの仕事
第5章 誰でもスカウトになれる?
第6章 優れたスカウトに求められる3つの能力
第7章 スカウトは何で評価されるのか?
第8章 日本のスカウト、アメリカのスカウト
第9章 もっと多くの人に野球を楽しんでもらいたい

※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。

第6章 優れたスカウトに求められる3つの能力

スカウトの能力は、仕事をしながら磨かれていくもの。とはいえ、いったいどんなところで能力の差が出てくるのでしょうか。

最初に能力を測る基準はないというお話でしたが、やっているうちに能力の差が出てくるともおっしゃっていました。優れたスカウトにとって大事な能力はどういうものだとお考えですか?

嘉数 僕は、大きく分けて3つあると思っています。まず「観察力」です。「目だけじゃなくて、耳でもスカウティングしろ」とよく言われるのですが、目で見て、耳で聞いて、情報を集める。そして次に、集めた情報を「分析する能力」。見たもの、聞いたものを分析し、仮説を立てて検証していく。目で見たり、耳で聞いたりするほか、野球は比較的データをとりやすいスポーツなので、分析に使えるデータもたくさんあります。たくさんある分、それらのデータをどう読んで、どう使うかというセンスが重要になってきます。データがたくさんあるからといって、必ずしも正解に近づけるというわけじゃありませんから。

最後は、観察して分析したものを「表現する能力」です。情報をうまく表現できるか、言語化できるかどうかということです。長嶋監督の指導について、有名な話がありますよね。打者に「腰をガッて入れて、バーンッて打つんだ」と指導する。プロ野球選手同士であれば、それでいいんだと思うんです。理屈や言語に変換すると、それによって失われるものもありますから、経験者同士であれば、感覚的な表現のほうが効率がいいこともある。でも、スカウティングとなると、何千万、何億というお金が動くことになるので、オーナーなどにも説明ができないといけない。その場合は、やっぱり普遍的な言語にする必要があります。

嘉数さんは、そういった能力を高めるために日々どんなことに取り組んでいるんでしょう。

嘉数 とにかく野球の試合をたくさん観ること。それをひたすらやっています。球場に行くだけでなく、テレビで観たり、ラジオで聴くこともあります。それから、監督やコーチを含むいろいろな関係者の話を聞く。いろんな角度から野球に触れて、疑問をもったら聞きます。僕は選手ではなかったので、野球について、まだいっぱい疑問があるんですよ。これってこうなんじゃないか、ああなんじゃないかって、よく思っている。この世界に入って10年以上経ちますが、今でも外部の目で見ているところがあり、それが役に立っている部分もあるかもしれません。

自分の能力が上がったかどうかは、どんなときに実感しますか? また、どうやって判断しますか?

嘉数 日々実感するというのはありませんが、やはり始めた頃と今を比較して、力がついたなと思う瞬間はありますね。どういうときに実感するかというと、、、なかなか難しいですね。そうですね、選手のレポートを書いたりするときに感じるかもしれません。少ない情報量でレポートが書けると、「スキルが上がったな」と思うときがあります。最初はそもそも何を書いていいか、どういう評価をすればいいかがわかりませんでしたからね。あと、たとえばバッターの仕草をみて、コンディションや、次に何をするかがわかるようになりましたね。ファウルだったときでも、どうなっていたらホームランになっていたかがわかるようになったりとか。とはいえ、わかるようになったと思っているだけで、実際にそれが正しいかどうかはわからないので、そこが難しい。「わかった」と思ってしまうことが、マイナスになってる可能性もありますよね。

(次章に続く)

聞き手・撮影: Hello Coaching!編集部

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