さまざまな分野においてプロフェッショナルとして活躍する方たちに Hello, Coaching! 編集部がインタビューしました。
ボストン・レッドソックス スカウト 嘉数駿 氏
第9章 もっと多くの人に野球を楽しんでもらいたい
2017年07月11日
※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。
ハーバード大学を卒業後、野球の世界に飛び込み、現在はボストン・レッドソックスのスカウトとして活躍する嘉数駿(かかず しゅん)氏。野球チームのスカウトとは、いったいどんな仕事なのか? 嘉数さんが野球の世界に飛び込んだ経緯から、今後のビジョンまで、お話をうかがいました。
第1章 | 『マネー・ボール』との出会いが人生を変えた |
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第2章 | 1年半にわたる就職活動 |
第3章 | 野球の世界で働き始める |
第4章 | スカウトの仕事 |
第5章 | 誰でもスカウトになれる? |
第6章 | 優れたスカウトに求められる3つの能力 |
第7章 | スカウトは何で評価されるのか? |
第8章 | 日本のスカウト、アメリカのスカウト |
第9章 | もっと多くの人に野球を楽しんでもらいたい |
※内容および所属・役職等は取材当時のものを掲載しています。
第9章 もっと多くの人に野球を楽しんでもらいたい
一冊の本を読んだことがきっかけで、野球の世界に飛び込んだ嘉数さんに、これからの夢を語ってもらいました。
嘉数さんにとって、スカウトの仕事の楽しさはどんなところにありますか。
嘉数 いいと思った選手が自分のチームに入って活躍し、観客やファンのみなさんが喜ぶという、目に見えやすいかたちで結果が出るところがスカウトの仕事の醍醐味です。とはいえ、それを味わえるのは、多くても1年に1回くらいです。もっと個人的なことでいうと、毎日野球の試合を観に行って、それを仕事にしているということ。最初に言ったように、もちろん仕事なので、たいへんなこともありますが、それでも自分の好きなことを仕事にできて、それを毎日楽しめているというのは幸せです。
チャレンジについても教えてください。
嘉数 日常的な業務に、毎日チャレンジがあることも楽しさのひとつです。ベテランであっても間違うことがたくさんあるということを見ているので、僕も、日々試行錯誤しながら取り組んでいます。2、3年訓練したら正解率が90%になるというような仕事だったら、つまらなくなってしまうかもしれません。レポートを書くときには、いつも迷います。書きながら、「もうちょっと活躍するかな」とか「いや、全然ダメかな」とか思ったりするわけです。それで「次に観るときには、こういう角度で見てみよう」と考えたりします。
今後のキャリアについて考えていることを教えてください。
嘉数 いずれGMの仕事に就きたいと考えています。最初の頃はなんとなくのイメージでしかありませんでしたが、いまはもう少し具体的に、このままステップアップして、いずれチームの編成のトップになりたいです。
メジャーのチームのGMですか?
嘉数 日本かアメリカか、というのは関係ありません。どちらでもいいです。仕事という意味ではGMになりたいという話になりますが、もう少し大きな話でいうと、野球という文化を高めることにつながるといいと考えています。僕がGMになることで、プロ野球選手経験者でなくてもGMになれるということになり、いろんな業界から野球界に人材が流入してくるといいですね。多様な人材が関われば、業界としてのレベルが上がっていくことにつながるのではないかと思います。「GMになる」というのは、「目的」というより「手段」みたいなイメージです。
僕は、アメリカと日本の球団で仕事をしてきていますが、長期的な目で見て、日本の野球、あるいは野球全体の価値が高められるといいという気持ちで仕事をしています。
スカウトとして経験を積むうえで、これから経験したいことはどんなことですか?
嘉数 いろんなところで野球を観たいです。同じ国の野球だけをずっと見ているとやはり飽きてしまうところがあるし、能力的にも開発に限界が出てきます。違う国の野球を観ると、たとえば日本の野球を違う視点で観ることができて、新たに気づくことも出てきます。そういう意味で、もっともっといろんなレベルのいろんな野球を観たいなと思います。
いろいろとお話をうかがうことができて、勉強になりました。ありがとうございました。
(了)
聞き手・撮影: Hello Coaching!編集部
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