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イメージスコア

『イメージスコアによる間接的相互依存の進化』
(※執筆者については下記を参照)という論文があります。

人間関係を損得だけで考えるなら、
いつでも誰からも協力してもらうだけの人が一番得をするはずです。
しかし、実際の人間関係は、
単に1対1の関係で成り立っているわけではありません。
周囲には常に、その1対1の関係を観察している第三者がいるわけです。
その人たちは、人に対して協力を惜しまない人を見て、
心の中でその人のポイントを上げます。
そのポイントを「イメージスコア」というのです。

彼らは、協力だけしてもらう人、または、誰かに協力をしない人を見ると、
心の中でそのポイントを下げます。
つまり「マイナスのイメージスコア」をつけているというわけです。

上記の論文は、コンピューターを100台以上つなげて
擬似の人間関係をつくりだす実験を行い、
その結果をもとに書かれたものです。

会社の中、友達との関係、地域のコミュニティーにおいて、
自分のイメージスコアのポイントがいくつくらいかを考えることは、
なかなか興味深いものです。

もちろん、イメージスコアがすべてを叶えてくれるわけではありません。
当然、自ら他の人からの協力を仰ぐことも必要です。
また、自分の利益を優先させるべき状況もあります。
ただ、その瞬間に自分のイメージスコアが下がることも
自覚していなければなりません。
マイナスになったのであれば、
どこかでプラスにしておく必要もあるわけです。

以前、ソーシャルキャピタルについて、
この WEEKLY COACH で書いたことがあります。
高い「ソーシャルキャピタル」は、
高い「イメージスコア」によって維持されます。
また、リーダーやマネージャーとしての資格に
「イメージスコア」は大切な要因になります。

イメージスコアという概念がなかったときは、
イメージスコアの低い人を、
「利己的、自分勝手」という言葉で非難してきましたが、
イメージスコアという概念を持ち込めば、
イメージスコアの高低で評価することができます。

最後に大切なことは、
たとえ、今イメージスコアの値が低くても、
高くしていくことが可能だということです。

以下は論文の要約です。

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 『イメージスコアによる間接的相互依存の進化』
 執筆者:マーティン・A.・ノワク
    (イギリス、オックスフォード大学、動物学科)
     カリ・シグムンド(オーストリア、ヴィエナ大学、数学科)
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協力行為は、大抵、自分に協力してくれた人に協力をお返しするという直接的
相互依存で成り立っている。しかしここでは、間接的相互依存という協力体制
についての考察を述べる。

間接的相互依存とは、「見返りを期待しないで、ある人に協力をしておくと、
それを見ていた第三者に、後ほど協力をしてもらえる」という構造である。つ
まり人は、「他人に対して協力した実績を持つ人に対して協力する」という性
質がある。

人は、自分のイメージや地位を、人に協力することによって上げていくという
政治活動を行っており、そのイメージスコアは人間関係を築いていくうえで非
常に重要なものである。その間接的相互依存のメカニズムを理解するために、
単純化したモデルを使用したコンピューターシミュレーションの結果を数パ
ターン紹介する。

基本形は、協力を提供する提供者と、協力を受ける受け手がランダムにピック
アップされ、協力行為のやり取りがされるというものである。パターンによっ
て、「決して協力をしない拒否者」と、「人を見て判断する、つまり前回協力
してイメージスコアが1ポイントアップした人にだけ協力する偏見者」、「誰
にでも無条件に協力する者」に分けることができる。

また、ピックアップされた提供者と受け手のやり取りを観察して、提供者のイ
メージスコアを独自にもつ観察者を導入することによって、より現実社会と近
い状態にしてのシミュレーションも行われている。

間接的相互依存を基盤にした協力行為では、提供者になる者は、他人を助ける
ために、ある特定のコストを受け入れるか、そのコストを避けるのかを、選ぶ
ことができる。簡単に言うと、コストを避けることは、高い見返りを避けるこ
とにもなる。一方、利他的行為は提供者のイメージスコアを上げ、それゆえ将
来的に受け手になったときに出会った人から利益をこうむるチャンスが増える。
また、イメージスコアの低いプレイヤーを蔑視して助けない偏見者は、自身の
スコアを減点するという報いを受けている。

人間社会との関連性でいえば、第三者についての情報は、直接的やり取りを必
要としていないが、その人を観察する、あるいは別の人と話すことにより、間
接的に取り入れることができる。そんな情報伝達という意味での人類の言語の
進化は、間接的相互依存を基盤とした協力行為の

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